休日なのに休まらないとはどういうことか
ゴールデンウィークはゆっくり休まれたでしょうか。
この記事を読まれている読者の皆様が、心身を癒せる時間を過ごされたことを切に願っています。
本記事は2024年5月15日に公開されているので、ゴールデンウィークから一週間ほど経過しました。
日常に戻ると次の長期休暇が恋しくなりますよね。
ですが、いざ休みの日が来ると予定を詰め込みすぎて、予定を消化するだけで終わってしまい、休まった気がせずにその日を終えてしまう。
あるいは、休みの日に何も予定を入れずにいざ休もうとすると、時間だけが経過して休まった気がせずにその日を終えてしまうことなどを経験されたことがあるでしょう。
「自分がやりたいと思ったことだけをする」だと、あまりリフレッシュした気分にはなれないのは何故なのでしょうか。
今回ご紹介する『心療内科医が教える 本当の休み方』は、休もうとしても休めない原因からどうすれば本当の意味で休めるかまで、本当の休み方を解説した本です。
いつも本サイトを訪れて記事を読んでいただき、ありがとうございます。
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Audibleの公式サイトはこちらからどうぞ心療内科医が考える「休む」の定義
タイトルの通り、著者の鈴木裕介さんは心療内科医です。
心療内科で勤務していると、休日に休もうとしても休まらない人に出会うことが多いのだそうです。
そこで本書の冒頭では、休むとは「何かを見つめ直すこと」が大切だと次の通り述べられています。
近年、休みたくても休めないという悩みや休みを取っても心や体が休まらない、自分では休んでいるつもりなのに疲れが取れないという悩みを抱えている人、それにより心身の疲労を常に感じている人は少なくありません。
実際、日本疲労学会が発行している2022年の休養・抗疲労白書によれば8割弱の人が疲労を感じていると答えています。
疲労というのは目に見えるものではありません。
疲れたという実感が、必ずしも伴わない疲労というのも存在します。
その結果、頭では大丈夫だと思っていてもまず体が先に悲鳴を上げ、会社に行きたいという気持ちはあるのにどうしても朝起きられないといった症状が表れてしまうのです。
そもそも休むとは何でしょうか。
日本語ではabsent(アブセント)欠席・欠勤すると、rest(レスト)休憩・休養するは同じ「休む」という言葉を使うため勘違いされますが、仕事や学業に勤しんでいない時間を過ごしているからと言ってうまく休めているとは限りません。
休養とは疲労を回復し健康を取り戻すという目的のために、一定の時間を使って行われる行為のことです。
ゲームでは宿屋に泊まって休めば体力は一瞬で全回復しますが、現実はそう簡単にはいきません。
では、なぜ休みたくても休めない、休みを取っても心や体が休まらない、休んでいるつもりなのに心身の疲れが取れないといった状態が起こるのか。
その根本的な原因は休むことが、いかに難しさを伴う高等技術であるかが理解されていないことにあると私は思います。
人が上手く休むためには大きく3つのプロセスがあると考えています。
- 休みが必要であると自覚すること
- 休むことが出来る環境を確保すること
- 自分の状態にとって適切な休養活動を選択すること
きちんと休む、自分に合った本当の休みを取るというのはこれらのプロセスを全て成立させないといけない総合芸術のようなものだと考えています。
しかし、これら全てのプロセスにおいて本当に大きなハードルが存在します。
ハードルが高くさらに高度な技術を要するにも関わらず、私を含めてほとんどの人は休むことについて深く学ぶ機会がありません。
「よくわからないまま適当に休んでいる」というのが現実かもしれません。
まず休むということについて、改めて捉え直していく必要があるでしょう。
本書の『restore the mind and body 01 疲れているのに、上手に休めない。その理由はなんだろう』の章から文章を一部引用して、本書が定義する休みについて簡潔に説明しました。
「休む」と一言で言ってもその定義は幅広く、様々な要素で構成されていることが上記の引用からわかります。
「休む」とはどういうことかを言語化すると、単純なようでいて実はとても複雑なことをしていたことに気付きました。
であれば、休日なのに休まらないことがあっても、それが不自然だと思わなくなるはずです。
感情を無視し続けるとどのような状態になるのか
休むときには自分の心の状態にも向き合う必要があります。
自分の心の状態に向き合った時に、理解しなければならないのが「解離」です。
「解離」とはどのような心の状態を指すのでしょうか。
「解離」について、本書では以下の通り解説されています。
職場だけではありませんが、そのように傷つきの多い環境にいるとき人はどうなっていくでしょうか。
次第に感情が動かなくなり、生活に生き生きとした現実味がなくなっていきます。
あたかも脳に麻酔をかけるようにあらゆる痛みに鈍感になっていくのです。
これは生物が古来より身に付けている逆境に適応するために苦痛をやり過ごしていくための術で、このような適応を「解離」と言います。
実際に脳の機能の一部が低下し、私が今ここにいるという感覚がぼやけ心が麻痺し、自分と世界の間に薄く膜を張ったような感じになります。
こうなるとどれだけブラックな環境であっても、辛いと思わずに日々をやり過ごすことが出来るのです。
これは生き延びるために生物が培ってきた非常にパワフルな生存戦略で、多かれ少なかれ私達はこの解離を駆使しながら日々を過ごしています。
(『心療内科医が教える 本当の休み方』より引用)
「つらい」とか「しんどい」といった感情を麻痺させる役割が「解離」なのですが、この役割に頼りすぎてしまうと任意のタイミングでオンとオフの切り替えが出来なくなり、常にオンの状態でずっと「解離」の状態になってしまいます。
解離し続けてしまうことの危険性について、本書では次の通り見解を示しています。
解離について知ることはストレスや休むことを深く理解するために不可欠ですので、後ほど詳しく述べますが、これも過剰適応のひとつの表現型と言っていいでしょう。
このようなモードに入ると何が自分に負荷をかけているのかはっきりと把握出来なくなり、永遠と体力と気力を削がれ続け、しかもそこから離れようという強い意志を発揮することも難しくなります。
まさに生けるしかばねのようになってしまうのです。
(『心療内科医が教える 本当の休み方』より引用)
生物の防衛反応として、「ファイトオアフライト」という機能があります。
生物が生命の危機に瀕した際に戦うか逃げるか、どちらかの選択を取ることです。
ですが、ここに生物は新たな選択肢を取ることが研究でわかりました。
それは固まって死んだふりをして、その場をやり過ごそうとすることです。
目がうつろで意識はぼんやりとしていて、痛みを感じにくくなることで死んでいるように演出します。
多くの肉食獣は感染などを恐れて死んだ獣の肉を食べません。
目立った外傷もないのに獲物が弱っていて、今にも死にそうになっているということは、「この肉を食べたら、自分も同じ感染症になってしまうのではないか」と天敵に思わせるのが目的です。
これを「フリーズ」と呼ばれています。
「フリーズ」とは「解離」であり、先ほど多かれ少なかれ私達はこの解離を駆使して生活しているとありましたが、例えばこんな場面で使用します。
社会人として働いていると、上司など立場が上の方から怒られる場面があります。
その際に「ファイト」を選んで殴るわけには当然いきませんし、「フライト」を選ぶとずっと逃げ続けなければならず仕事を辞めることになります。
そこで残った選択肢の「フリーズ」を選んで、やり過ごそうというわけです。
もちろん職場で急に死んだふりをするわけにはいかないので、「つらい」とか「しんどい」といった感情を押し殺して、そういった感情に一時的に死んだふりをさせることでその場をやり過ごします。
フリーズを続けてしまうとどうなってしまうのかというと、先述した通りの生けるしかばねになってしまいます。
一時的に、「つらい」とか「しんどい」といった感情を押し殺すのは悪いことではありません。
防衛反応としてあるのが当たり前の機能であり、人間なら誰もが持っている機能です。
大切なのは、自分が「解離したこと」を意識することです。
「解離」を使わなければならない場面は、生きていく上で必ずあります。
自分が今「解離」を使っていること、その場から離れることが出来たら「解離」を止めることをしっかり意識することが大切です。
そして「解離」を使って押し殺していた感情を、労わることも忘れずに行なってください。
あなたのどの感情も、あなたが生きる上でとても大切だからです。
あなたが本当の休み方と向き合い、本当の休み方を実践出来るように、本書をぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
本記事を最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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