言葉が浮かばないのは語彙力がないのではなく、花火が湿っているからです『博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』

悩みを言語化する
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SNSで感想を書いている投稿でよく見かける言葉

「語彙力」

何か感想を伝えたいのだけれども、適切な言葉が何も思い付かないことを自虐的に発せられる際に使用されるのがこの言葉です。

あるいは「語彙力()」とも使われています。

SNSを中心に流行した言葉なので、どこかで見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

私も語彙力には常々悩まされているので気持ちは痛いほどよくわかります。

もっと他に的確な表現があるんじゃないかと脳内を探し回っても、何も出てこない経験など日常茶飯事です。

それに、言葉が思い浮かんでも次は文章がまとまらない。

そんな経験も頻繫にあります。

もっと語彙力を増やしたり、まとまりのある文章を書けるようになりたい。

そう思った私はそういった類の関連書籍を読み漁る中で、具体的でわかりやすい上に実践もしやすいという素晴らしい本に巡り合えました。

その本が今回ご紹介する『博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』です。

いつも本サイトを訪れて記事を読んでいただき、ありがとうございます。

こちらの書籍はAudibleでもご利用頂けます。

現在、Audibleを新規登録される方は30日間無料で体験することが出来て、今回ご紹介した書籍も無料体験中に聴くことが出来ます。

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言葉が思い浮かばないのは湿った花火と同じ

著者のひきたよしあきさんは博報堂という広告会社に35年間勤めています。

著者はこれまでずっとコピーやCMを作る仕事をやってきました。

最近はスピーチライターと言って、会社の社長や政治家のスピーチを書く仕事をしています。

一貫して、その商品やサービス、テーマに興味関心がない人を巻き込む言葉を作ってきました。

また、小学生から国の行政に関わる人達までどんな世代の人達にも伝わるような短くわかりやすく伝えるコツを日本中で伝えてきました。

そんな著者の今までの経験から、話したり書いたりすることに劣等感を感じる人達を救った珠玉の25のメソッドを集めたのが本書です。

本書では25のメソッドを5日間で学べるように構成されています。

土日を除いた一週間で言葉を思い付く、まとめる、伝える方法を集中的に学ぶイメージです。

言葉に出来ないコンプレックスに悩む山崎大を主人公に、広告会社に勤める和田先生とのやりとりでストーリーが展開していきます。

話の流れとしては、食品大手の広報部で働く主人公の山崎大が仕事上のトラブルや行き詰った時に、和田先生にメールで相談して助言を貰うという形で進みます。

例えば、5日間のメソッドの初日である「Day1 頭の中にあるものを知る」では次のようなやり取りで物語が進行します。

「先生、私は何か尋ねられても、自分から言おうとしても適切な言葉が浮かんでこないんです。

そもそも人と比べて、脳みそにインプットされているボキャブラリーの数が少ないように感じています。

今から読書をしても、すぐに身に付くとは思えない。

一体どこから手を付けたらいいのか見当がつきません。

思ったことがパッと言葉にするにはどうすればいいでしょう?

基礎の基礎から教えてください。」

この質問に対して和田先生は次の通り返答しました。

「よろしい、ひとつテストをしてみよう。

30秒、図形の名前を声に出して言う、ここから始めよう。

大切なことはちゃんと声に出して言うことだ。

頭の中で思うだけではダメ、声に出して言おう。

では、始めて。」

あなたは何個思いついて声に出して言えましたか?

この文章を読んだ時に私も実際に声に出して挑戦してみましたが、6個でした。

落ち着いて考えれば名前が出てきますが、突発的な問題に加えて30秒で答えるという時間制限があると慌ててしまいますよね。

このテストの意図を以下の通り解説しています。

「どうだったかな、君は理系だから図形の名前は簡単だったかもしれない。

正三角形、二等辺三角形、直角三角形、正方形、長方形、平行四辺形、外形、円、楕円。

そんなところかな。

大君も途中何度か詰まったはずだ。

小学校で習ったことがすらすらと出てこない。

でも、どれもこれも知らないわけじゃない。

すぐに頭に単語が浮かんでこないだけのはずだ。

実はね、大君は決してボキャブラリーがないわけじゃない。

今図形がすらすらと出てこなかったように、脳にインプットされている言葉が湿った花火のようにパッと閃かなくなっているだけなんだよ。

大君、君は記憶の構造を脳みその中にたくさんの整理ダンスがあるように考えているかも知れない。

そうじゃないんだ。

言葉はちっとも整理されていない。

思い出そうとした瞬間、脳の中に「二等辺三角形」という花火がパッと咲くイメージ。

言葉がすらすら出るというのは、夜空を焦がす花火のように言葉がパンパンパンっと打ちあがる感じだと思って貰いたい。

では、どうすれば言葉の花火が打ちあがるようになるだろう。

それが30秒で物の名前を10個言うというトレーニングなんだ。」

「脳にインプットされている言葉が湿った花火のようにパッと閃かなくなっている」

この表現はとても的を得た表現だと膝を打ちました。

「あれ?これ何だったけ?」と自分が何かを思い出せない場面に出くわすのはよくあります。

その代表格が人と物の名前です。

思い出そうとしても思い出せない姿は、火を付けようとしてもなかなか着火しない姿とよく似ているなと感じました。

短い時間の中で物の名前がパッと思い浮かぶトレーニングをし続けることで、湿ってなかなか火が付かなかった言葉の花火が脳みその中でバンッと上がるようになります。

仕事や日常会話で使用している程度の語彙なら、誰でもパッと思い浮かぶようになると和田先生は次の通り説明をしています。

それがなかなか出てこないのは声に出さないからです。

頭の中でふわふわ消える言葉は言葉じゃない。

それこそ湿った花火だ。

短い時間で脳みそにけしかけて、言葉の花火を上げる。

そうやって怠けた脳をトレーニングすれば、必ず脳みそに言葉が戻ってくる。

確かに言葉を思い浮かべる際は脳内だけで完結していることが多いと、この文章を読んで気付かされました。

実際に声に出してみると口から発せられるだけではなく、耳でもその言葉を聞いているので言語に関する脳の働きがより活性化しているのを体験出来ます。

ですが、言葉が思い付くようになっても、それを文章でうまく繋げられるようにならなければ宝の持ち腐れです。

文章はどの様にしてトレーニングをすればよいのでしょうか。

本書でも、山崎大は「単語(点)は浮かぶけど、文章(線)になりません。単語だけではなく、頭に文章がすらすらと浮かぶコツを教えてください」と和田先生に尋ねました。

これに対して、和田先生はどう答えたのでしょうか。

実況することで文章力が磨かれる

「なるほど、単語は浮かぶけど文章にならないか。

いいところに気付いたね。

これはある程度言葉が頭に浮かぶようになった人にやってくる次の関門です。

単語から文章へ、赤ちゃんの言語が発達するのと同じ過程だね。

心配しなくてもいいよ、今のところすらすらと語れるようになるためのステップを着実に踏んでいる。

では、次に点(単語)から線(文章)に繋がるようにして行こう。

いきなりだが、オリンピックの話をしよう。

1964年の東京オリンピックね。

残された映像を見ると雲一つない青空の中、入場パレードが行われているよね。

実は前日まで台風の影響で雨だったんだ。

日本中が天気を心配していた。

そんな状況だったからこそ、元NHKアナウンサー北出清五郎さんはマイクに向かってこう言ったんだ。

「世界中の青空を東京に持ってきたかのような素晴らしい秋日和でございます。何か素晴らしいことが起こりそうな国立競技場であります。」

見事だよね、これ以上の実況はないと思う。

情景を見て、それをどう言葉にするか。

箱根駅伝、ワールドカップのサッカーやラグビー、野球に相撲、勉強材料はいくらでもある。

大君もスポーツを観戦するときにアナウンサーの実況に注目してごらん。

実に見事に目の前の風景や状況を言葉にしている。

いい勉強になるよ。」

(博報堂スピーチライターが教える 『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』より引用)

朝のニュースを見ている時に、朝ご飯を食べながらや支度をしながらといった、ながら聞きでも十分理解出来るのでわかりやすい文章のお手本として申し分ないでしょう。

私は普段ラジオでアナウンサーの方がパーソナリティを務めている番組をよく聞くのですが、やはり表現がとてもわかりやすいです。

ラジオだと映像がない分、言葉で表現する技術がより重要になります。

本書で例を挙げたアナウンサーの方は天候の話をしていますが、他にも天候の話で印象に残った表現があったことを思い出しました。

私が住んでいる地域はその時期天候が変わりやすかったのですが、ラジオ番組を務めたパーソナリティのアナウンサーの方が「天候が日々変わっていて、まるで日替わり定食のようですね」と表現されました。

日によって天候が違っているのを身近でわかりやすい例を挙げることで、共感しやすくイメージしやすい言葉を瞬発的に思い付くのは流石アナウンサーだとその時聞いていて感心しました。

とはいえ、プロであるアナウンサーの実況を参考にするのは最初はハードルが高いと思われるかもしれません。

本書でもそう前置きしてから、「自分の学ぶ先にお手本があるのは素晴らしいことだ」と述べています。

続けて、まずこんなことから始めようと、電車に乗り窓に映る景色をアナウンサーのように頭の中で実況することを勧めています。

「夕方です」、「屋根が見えます」、「たくさんあります」、「茶色が多いです」、こんな感じでも十分です。

なぜなら、これだけでも文章になっているからです。

単語から文章にするコツは自分で状況を実況すること。

実況を続けていれば、対象を見るだけで文章が自然に浮かぶようになります。

語彙力がなかったり、文章にまとまりがないことで悩むのは多くの人が経験することです。

そこで「自分には語彙力がないから」と諦めずに模索して、辿り着いたのがこの記事ではないでしょうか。

大丈夫です。

あなたは語彙力があり、まとまりのある文章を書ける技術を必ず身に付けられます。

そう確信して言えるのは私がこの本を読んで、本を読む前の私よりも確実に成長したことを実感したからです。

とはいえ、私もまだまだ未熟なので、その上達への道のりを一緒に歩んで行きましょう。

あなたが上達への道のりを踏み出す最初の第一歩として、本書をぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

本記事を最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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