「自分はダメだ」と言ってしまう人の心理
ミスや失敗をしたときは落ち込んでしまうものです。
落ち込んでしまうこと自体は人として自然な反応なのでいいのですが、落ち込んだときに自分の存在を全否定してしまう人までいます。
そういった人達の口癖で共通しているのが、「自分はダメだ」という言葉です。
「自分はダメだ」と言い続けて、現状は良い方向に変わりましたか?
ずっと「自分はダメだ」と言い続けてしまうような現状が続いているだけではないでしょうか。
そう言い切れるのは、かつて私も「自分はダメだ」と口癖で言い続けていたからです。
「自分はダメだ」と言い続けても、現状は何も変わらないまま時間だけが過ぎていました。
そういったネガティブな言葉を使うのを止めようとしても、頭からネガティブな言葉が自然と溢れ続けて止まらなくなるんですよね。
それも私は実際に経験したことがあるので、とてもよくわかります。
「自分はダメだ」と言うのを止められないなら、なぜその言葉が生まれてしまうのか原因を探ってみませんか?
その原因を解明すれば、「自分はダメだ」と言い続けるのを止められるかもしれません。
今回ご紹介する『一瞬で気持ちを切り替える脳内ひとりごと』は、頭の中から自然と湧き出る言葉に意識を向けて、言葉の捉え方を変えてくれる本です。
いつも本サイトを訪れて記事を読んでいただき、ありがとうございます。
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Audibleの公式サイトはこちらからどうぞ「脳内ひとりごと」とは何か
著者の吉村園子さんは上級心理カウンセラーで、心理学の専門家です。
著者の肩書き通り本書は心理学に関わりがあり、本書の『はじめに』から書籍の内容について次の通り説明しています。
私達は毎日頭の中で、何万語ものひとりごとをつぶやいています。
それがどんなひとりごとかによって、ネガティブになってしまうこともあれば、ポジティブな気分に変われることもあります。
ある人にとってはひどく落ち込む出来事も、別の人には大した問題ではないこと、ありますよね。
後者は頭の中で繰り返されるネガティブなひとりごとをストップして、ポジティブなひとりごとに切り替えられる人です。
日々無意識に漏らしている脳内ひとりごとを、ポジティブに変えることが出来たらもっと生きやすくなります。
いつもならクヨクヨ、モヤモヤしていた出来事に対して、今までとは違う前向きな視点から向き合えるようになります。
身の回りにあるいいことにたくさん気付けるようになり、心の状態も安定します。
さらに他者への理解も進み、コミュニケーションを円滑にすることも出来ます。
本書では様々なシーン別に身近な事例を用いつつ、具体的な心理学のテクニックも交えながら、一瞬で気持ちをポジティブに切り替える脳内ひとりごとのコツをお伝えします。
(『一瞬で気持ちを切り替える脳内ひとりごと』より引用)
「脳内ひとりごと」と同じ意味を持つ言葉を、本サイトの別の記事で解説している記事があります。
「自分を変えたい」と思うなら、その意志の力に頼るのは止めましょう『世界一やさしい 自分を変える方法』では、「脳内トーク」として紹介しています。
「脳内ひとりごと」と「脳内トーク」は言葉の意味はどちらも同じです。
自分の脳内で無意識のうちに湧き出ている言葉に意識を向けて、解釈を変えることが目的です。
上記の説明の通り、脳内では一日に数万単位もの膨大な数の独り言を変えることが出来るのなら、自分自身も変われそうだと思うのも腑に落ちます。
そして独り言は脳内だけに留まらず、実際に口に出してしまうこともあります。
口に出してしまうほど実は強く意識しているわけなのですが、そういった類の独り言はネガティブな内容がほとんどです。
仕事終わりに「疲れた」と漏らしたり、ため息をついてしまうことなどがその典型でしょう。
ポジティブな感情の場合もありますが、大抵はネガティブな感情に由来しています。
ネガティブな感情から生まれる独り言はたくさんありますが、その中でも特に強烈なのが冒頭でも取り上げた「自分はダメだ」という独り言です。
何か大きな失敗をしてしまったときに不意に出てしまう言葉ですが、自分の事を全否定してしまう言葉は脳内だけでも苦しいのに、実際に口に出して言うと自分で自分をさらに落ち込ませるほどの威力があります。
「自分はダメだ」という独り言が思い浮かんだときは、どうすればいいのでしょうか。
本書の第3章の『なんだか後悔したとき……』から『自己肯定感を下げてしまいそうなとき「具体的に何がダメなの?」』では、以下の通りの方法で対処することを勧めています。
ミスをしたとき、失敗したとき、「やっぱり私ってダメだな~」と落ち込んでいませんか?
もしこんなひとりごとに心当たりがある人は、今すぐにそんな悲しいひと言を封印してください。
自信をどんどん失ってしまいます。
ミスや失敗は確かにダメなことです。
無いに越したことはありません。
しかし、だからといってミスや失敗をしたあなたがダメなわけではないのです。
そこに気付くことが大切です。
あなたがあなた自身の価値を下げてしまいそうになってしまったときは、「具体的に何がダメなの?」という脳内ひとりごとの出番。
具体的な検証もせず、無意識に「自分はダメだ」と思い込んでしまう思考パターンをこの言葉で切り替えていきましょう。
(『一瞬で気持ちを切り替える脳内ひとりごと』より引用)
ミスや失敗は確かにダメなことですが、だからといってミスや失敗をしたあなたがダメなわけではない。
本書から引用した言葉ですが、正にその通りだと私も強く共感しました。
「自分はダメなんだ」という言葉は、そもそも主語が大き過ぎます。
ミスしたことや失敗したことは一日という時間の単位で見ても、ほんのわずかな時間だけです。
それにもかかわらず、「自分は」という枕詞を頭に付けてしまうと、まるで今まで生きてきた自分の全てを否定しているような錯覚に陥ります。
もちろんそれは錯覚なので、正しい見方を取り戻せば気持ちも落ち着きます。
そこで正しい見方を取り戻せる言葉が、「具体的に何がダメなの?」という脳内ひとりごとです。
「自分はダメだ」から「具体的に何がダメなの?」と言葉を切り替えると、ダメな対象が「自分」という大きな枠組みから外れて、「具体的な何か」と枠組みが狭まります。
そう思えば、「自分が」ダメなのではなくて、「具体的な何か」がダメであることが認識出来て、自己否定する気持ちはだいぶ和らぐでしょう。
そもそも、無意識下で「自分はダメだ」という思いが生まれてしまうのは、幼少期の体験が基になっている場合があります。
本書ではその事例を交えながら、心理学の観点も加えて解説を行い、次の通り文章が続きます。
「自分はダメだ」という言葉の背景にあるもの
Uさんはとても心配性の母に育てられました。
強く当たられたり、放任されたりすることはなく、むしろ手厚くサポートしてくれました。
そんな母の口癖は、「あなたはダメな子ね。」
責めるというより、仕方がない子ねというニュアンスでしたが、大人になったUさんの心には「ダメな私」という罪悪感にも似た気持ちが根深く残りました。
例えば、仕事でちょっとした入力ミスを指摘されただけでも、Uさんは「やっぱり私はダメだな」とひどく落ち込みます。
家でも家事が上手く出来ない自分に苛立ち、暗い気分になります。
ある日、Uさんはうっかり鍋を焦がしてしまいました。
いつものように「ダメな私モード」にスイッチが入った時、「ちょっと焦がして失敗した。それだけのことでしょ。」と夫に笑って言われたのです。
私達は日常的に無意識で多くの言葉を省略しています。
「誰が、いつ、何を、どこで、誰に」といった情報や、評価、判断基準などの具体的事実を省略してしまうのです。
これを「メタモデルの省略」と言います。
すると、事実でないことを事実として認識してしまうことがあります。
特に「自分はダメだ」などのネガティブな認識は、意識的にそれが本当かどうか検証しないと勘違いだと気付くのはなかなか難しいのです。
結果、Uさんのように「ダメな私モード」が続いてしまい、自己肯定感を下げていってしまいます。
繰り返しになりますが、ミスや失敗はそのこと自体がダメなのであって、あなたがダメなわけではありません。
「具体的に何がダメなの?」とダメの根拠を明確にすれば、それはすぐにわかります。
「具体的に」と考えることで、自分を含め物事を客観的に見る癖を養っていきましょう。
(『一瞬で気持ちを切り替える脳内ひとりごと』より引用)
上記の引用から、私達の思考というものは割と短絡的であることがわかります。
自分の中から出て来た思考は正しいと思ってしまいがちですが、実は間違っていることもたくさんあるからです。
「自分はダメだ」などの具体的事実が省略されている言葉を思い浮かんでは、日常的に何の違和感もなく使っているのがその証拠です。
独り言をつぶやいた時の言葉を思い出してみてください。
「自分はダメだ」もそうですが、短い言葉で言い表せられる表現になっていませんか。
「疲れた」、「しんどい」、「辛い」など、だいぶ省略された表現になっています。
言葉が省略されてしまうのは、感情的に言葉を生み出しているからではないかと考察しています。
起こった出来事に対して、感情が優先すると感情的になります。
感情的になっているのですから、感情が先走って言葉が出ます。
感情的の対義語は理性的です。
理性的では当然、理性が優先されています。
「脳内ひとりごとを切り替える」など理性を優先させると、感情は次第に落ち着きます。
例に挙げた理性から生まれた言葉に注目して欲しいのですが、理性から生まれた言葉は感情から生まれた言葉に対して表現が長くなっています。
感情から生まれた言葉は「疲れた」、「しんどい」、「辛い」、「自分はダメだ」など表現が短めになっているのに対して、理性から生まれた言葉は「具体的に何がダメなの?」や「脳内ひとりごとを切り替える」など表現が長めになっています。
言葉だけを比べてみても、感情から生まれた言葉は省略されていることがわかります。
なぜ省略されて独り言として出て来るのかを考えると、それは無意識の中で蓄積された感情が表面化されたのではないでしょうか。
当たり前ですが、感情は誰にもあります。
日常生活を送っていれば、感情が揺れ動く場面は無数に存在します。
感情が揺れ動く度に、私達の脳内では独り言が作られていくのでしょう。
しかし、それらをいちいち気にかけていては時間がいくらあっても足りません。
そこで大半の独り言は意識にも上がらず、無視されるようになります。
無視されているだけで、無意識下ではどんどん蓄積されています。
それが積もりに積もったときに、独り言といった無視出来ない形で不意に表れるのではないでしょうか。
独り言の大半がネガティブなのは、内に秘めた思いを我慢し続けた結果と言えます。
ネガティブな感情になったときに、人は感情的になります。
いつも落ち込んでいるなど、いつもネガティブな感情を抱えている人はそれがデフォルトになっています。
いつもネガティブであるということは、いつも感情的になっているということです。
感情的になると正しい判断が出来なくなるのは、ここまで説明してきた通りです。
感情から生まれる言葉は省略されている上に、論理性がありません。
その様な状態から理性的に切り替えることが出来るのが脳内ひとりごとです。
省略した部分を意識的に見直すことで、感情から生まれてきた言葉が間違いであることを認識させて、正しい方向に修正させてくれます。
ここまで「自分はダメだ」という独り言を例に挙げて、「脳内ひとりごと」とは何かを解説しました。
「自分はダメだ」というたった一つの言葉ですら、無意識下ではこれだけの思考が張り巡らされています。
もしあなたが「思いや考えを言葉にするのが苦手」と思っているなら、それはあなたが気付いていないだけであなたの脳内では日々数万単位で言葉が生み出されています。
今、あなた自身の脳内に意識を向けてみてください。
きっと、この記事に対するあなただけの言葉で綴られた感想が脳内から湧き上がっているはずです。
あなた自身の中に言葉を生み出す能力は元々備わっていて、そのことに今まで意識を向けていなかっただけなのです。
人は一日に数万語も脳内で独り言を話しているのですから、あなただけ出来ないなんてことはありえません。
あなたが脳内ひとりごとに意識を向けて言語化の感性を磨くために、本書をぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
本記事を最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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