考えないようにしても、考えてしまう時の対処法
「さっきのあの一言余計だったかな?」
「あの人あんな表情してたけど、不快に思われなかったかな?」
「さっきの一言がどうしても忘れられない」
そんな風に考えすぎてしまうことはないでしょうか。
心当たりがあるなら、自分でも考えすぎてしまっている自覚があるということです。
しかし、自分でも考えすぎているとわかっていても、考えてしまうのを止められないんですよね。
考えすぎないようにしても、尚更そのことに意識が向いて考えてしまう。
これではずっと堂々巡りをしているだけです。
では、どうすれば考えすぎてしまうのをやめられるのでしょうか。
考えすぎてしまうのをやめるには、見方を変えることです。
見方を変えることで、あなたが考えすぎてしまうことに終止符が打てるようになります。
今回ご紹介する『考えてはいけないことリスト』は、考えてはいけないことを考えすぎないようにするにはどうすればいいのか、その対処法を伝授してくれる本です。
いつも本サイトを訪れて記事を読んでいただき、ありがとうございます。
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本書が定義する「考えてはいけないこと」とは
本書はタイトル通り、考えてはいけないことを考えないようにするのが目的です。
では、本書が定義する「考えてはいけないこと」とは、具体的にどの様なことを指すのでしょうか。
本書の『まえがき』の『世界の学術論文が提案する「考えてはいけないこと」』から、その定義と本書が書かれた経緯について次の通り説明しています。
夜が更け、部屋の明かりを消して横になる。
確かに体は疲れているはず。
でも、頭の中だけが休むことを忘れたかのように動き続けている。
今日の出来事、明日の予定、自分の発言、あの人の表情や言葉。
脳内の会話は止まらず、眠りが訪れない。
朝になっても考えすぎは続く。
出勤途中には、「昨日の発言は失礼だったか」と反すうし、職場に着けば「チェック漏れはないか」と不安になり、メールの文面を何度も見直してしまう。
人と話している最中でさえ、「どう思われているんだろう?」と頭の中でリプレイが始まる。
手の空いた時にSNSを開けば、他人の近況と自分を比べて気持ちが揺れる。
休日も安心できず、「将来は大丈夫だろうか、もっと努力しなくては」と焦燥感に駆られる。
こういったこと、ほとんどが考えすぎてしまうことが原因で起こることです。
自分でも考えすぎなのはわかっている。
でも、やめられない。
そんな考えすぎてしまうあなたにとって、本書は考えない自由と考えない自信を取り戻すための一冊です。
世界中の学術研究で提案されている考えてはいけないことと考えないための方法を紹介し、思考の呪縛からあなたを解き放つ道を一緒に探っていきます。
(『「説明」がうまい人がいつも頭においていること』より引用)
上記の引用で例に挙げられている「考えすぎてしまう人」にあなたも心当たりはないでしょうか。
「自分でも考えすぎなのはわかっている。でも、やめられない」ことにあなたも深く共感されたはずです。
先程も述べましたが、「考えすぎてしまう人」は自覚症状はあるんです。
しかし、考えすぎてしまうのをやめる方法がわからない。
その方法を伝授してくれるのが本書なのですが、その方法は世界中の学術研究を参考にして編み出されたものです。
なぜ、世界中の学術研究から参考にしているのかというと、著者の堀田秀吾さんは明治大学で教授をされています。
教授という立場である以上、世界中の学術研究や論文に目を通す機会の多い著者が、考えすぎてしまうのをやめる方法を編み出したのが本書です。
私達がなぜこんなにも考えすぎてしまうようになったのか、同じ章の『思考過多社会という現実』からその背景について以下の通り考察しています。
21世紀の私たちは情報の渦の中で暮らしています。
そしてその圧倒的な量に、もはや溺れている状態になってしまっています。
スマートフォンを開けば、ニュース、SNS、メール、広告。
街に出れば、看板やポスターやチラシ、電車の中の広告や液晶画面、ビルに掲げられた大型画面など、歩いているだけで次々と情報が目に飛び込んできます。
一説によると、「現代人が一日に受け取る情報量は、中世の人の一生分に匹敵する」とまで言われています。
本来、情報は私たちの生活を助けるための道具です。
しかし、薬の量が過ぎれば毒にもなります。
溢れる情報は、比較、評価、将来の不安を加速させ、私たちの頭の中を絶え間なく騒がせるのです。
そもそも私たちが一日に最も多く会話する相手は、他の誰でもない自分自身。
冒頭に記したように、頭の中では絶えず内なる声が話し続けている。
この自分との対話は、時に気づきを与えてくれるものの、多くの場合は悩みや不安、自己否定を増幅させる思考の沼に引きずり込みます。
なぜなら、その内なる声は必ずしも成熟した助言者ではない場合が多く、未熟で自己攻撃的な存在でもあるからです。
そして重要なのは、この考えすぎが心身に悪影響を及ぼすという事実。
考えすぎることで、鬱や不安障害といった精神的な問題のリスクを高めることが多くの研究で示されています。
「人間は考える葦である」というパスカルの言葉、自然界では人間は葦のようにちっぽけな存在ですが、考えることができることが人間を偉大たらしめている理由なんだというのは真実です。
しかし、考えることイコール良いこと、という信念は必ずしも正しくないのです。
「生きていく」が最重要課題で、そのために色々と考えなければいけなかった大昔とは異なり、この現代においては考えることと同様に大切なのが、「考えない」という選択肢です。
「考えない」というと、「怠け」や「逃げ」のように聞こえるかもしれません。
しかし、多くの研究でむしろそれが自分を守るための積極的な方法であり、より賢く生きるための術であることを示しています。
(『「説明」がうまい人がいつも頭においていること』より引用)
私達の生活には情報が溢れかえっています。
その情報量の多さが原因で、私達の思考に大きな悪影響を与えています。
ですが、原因が判明しているのですから、解決策もすぐに立てられます。
情報が多くて「考えすぎてしまう」のだから、それらから離れて「考えない」ようにすることです。
スマホから、パソコンから、テレビから、様々な媒体から与えられた情報を、私達はいつもただ何となく受け取ってしまっています。
それなら、情報を受け取らないことで「考えない」ようにすることも、私達には出来るはずです。
それは上記の引用の通り、「怠け」でも、「逃げ」でもありません。
「考えない」ことは、考えすぎて自分自身をこれ以上傷つけないようにする為の自己防衛です。
「内なる声は必ずしも成熟した助言者ではない場合が多く、未熟で自己攻撃的な存在でもある」と上記の引用でも触れられていましたが、考えてしまうことは自分で自分のことを傷つける側面も持っています。
その自傷行為の危険性について、第4章の『自分という迷路から出る【自己否定・抽象思考編】』の『18 自己否定 こんな自分でいいのか』から次の通り説明しています。
自分自身と戦っても、心は回復しない
自分を責めると脳は攻撃モードになり、ストレスが増す。
心理学の研究では、自分を責めることは心の健康を損なうことがわかっています。
キングスウェイ病院のギルバートとプロクターの研究では、強い自己批判を持つ人は抑うつや不安の傾向が高く、ストレス下で脳の防衛反応、争う闘争、逃げる闘争反応が過剰に働くことが示されました。
つまり、自分を責めることで、心は常に攻撃されている状態になってしまうのです。
ネガティブな言葉を自分自身に浴びせることは、自分自身を傷つける行為になる。
私たちが心の中で自分に語りかける自己対話は日常的に行われているものです。
しかし、その内容が自分を責めるネガティブな言葉で満たされていると、心と脳に大きなダメージを与えてしまうことが最新の脳科学研究で明らかになっています。
アストン大学のロンジらが行った実験では、参加者に自分に対して批判的な言葉、自己批判を浴びせる想像をしたり、逆に自分を励ます言葉、自己安心を想像したりしてもらい、その時の脳活動をFMRI、機能的磁気共鳴画像法で観察しました。
被験者には、仕事での失敗などのネガティブな状況やそれと意味の近い中立的な状況の文を読み、それについて自分を批判、あるいは安心させるような視点をイメージしてもらいました。
脳活動の比較の結果、自己批判の時はネガティブな感情処理や自己に対する厳しい判断に関与すると考えられている前頭前野の複数の部位が活性化しました。
一方、自分に安心を与える行為では、主に前頭前野の内側部分や左側の側頭極など、より穏やかな感情や安心感に結び付く部位が活性化していました。
この研究は、自己批判的な思考が特異的な脳活動パターンを伴い、深刻なストレスやうつ病に結びつきやすいことを示唆しています。
(『「説明」がうまい人がいつも頭においていること』より引用)
あなたが考えすぎてしまっている内容をよく見てみると、あなた自身を傷つけてしまう様な乱暴な言葉を使ってはいないでしょうか。
自己対話では、言葉遣いを配慮しません。
誰かに話す時は相手がいるので、多少なりとも言葉遣いを意識するものですが、対象が自分自身だけになると途端に雑になったり、ぞんざいになってしまう場合がほとんどです。
頭の中で思い浮かんだ過激な言葉をそのまま自分自身にぶつけているわけですから、心と脳が疲弊してしまうのも当然でしょう。
では、相手がいる場合は過激な言葉を使っていいのかというと、もちろんこれもよくありません。
「脳は自他を区別しない、悪口は自傷行為」と著者は見解を述べており、文章は以下の通り続きます。
私たちの脳は、誰が話しているかの主語を区別しにくいという性質があります。
つまり、誰かにネガティブな言葉を浴びせることは、実際には自分自身を傷つける行為と同じように脳が受け取ってしまうのです。
他人に対して言う悪口でさえ、そうなわけですから自己批判も同じです。
自己批判の神経メカニズムが活発化することで、抑うつ的な気分や不安、自己嫌悪が増し、精神面での悪循環に陥りやすくなります。
ロンジらの研究によれば、自己批判が働くときには脳内の複数の領域が強く活性化しており、その程度は自己安心と比べて大きく異なっています。
逆に、自分に優しい言葉をかけるような自分に安心感を与える行為は、脳にとって安全な信号となり、心の健康を支える安全な働きをします。
ロンジらの実験でも、脳の安心感を司る部位が活性化し、心の安定に寄与していることが示されました。
脳は自他を区別しないので、自分を批判せず、自分を励ます自己安心の思考習慣を作ることが脳と心の健康を守るのです。
自己否定的な言葉を止めて、自分に優しく話しかける習慣は脳科学の視点からも非常に意味のある努力です。
ぜひ日々の心の声に意識を向けて、ネガティブな自己対話を止め、自己安心へと切り替える第一歩へと踏み出しましょう。
(『「説明」がうまい人がいつも頭においていること』より引用)
誰かのことを心の中で攻撃しても、結局は自分自身を傷つけてしまうだけです。
ただ、誰かの悪口を言いたくなってしまう気持ちはよくわかります。
自分が悪くないような理不尽な出来事に遭遇した時など、つい他人の悪口を言ってしまうものです。
「人の悪口を言わない」という心掛けはとても立派なものです。
しかし、それをいつも実践し続けられるほど人はそこまで強くありません。
生きていれば、つい愚痴や悪口が出てしまう時も必ずあります。
ですが、もし愚痴や悪口が出てしまっても自分のことを責めないでください。
そんな時は愚痴や悪口を言いっぱなしにしないことが大切です。
愚痴や悪口を吐き出したなら、最後に必ず「そんな思いをしてもいつも頑張ってくれている自分にありがとう」など、自分自身を労わるような優しい言葉を掛けてから終えるようにしてください。
上記の引用の通り愚痴や悪口で終わってしまうと、自分自身に対する攻撃性も高まったままになってしまいます。
なので、もし悪口を言ってしまっても、最後に自分自身を労わるような優しい言葉を掛けることで、その高まった攻撃性を打ち消すことが出来ます。
さらに、自分に対して優しくすると、自分自身のことを徐々に受け入れられるようになります。
この自分を受け入れられることの効果の高さについて、以下の通り解説しています。
自分を責めるより、受け入れることで回復する。
この悪循環を断ち切るために注目されているのが、ネバダ大学のヘイズらが提唱するアクセプタンスアンドコミットメントセラピー、「ACT」の考え方です。
ヘイズらは不安や悲しみを消そうとせず、そのまま受け入れる心理的柔軟性が、ストレスの軽減や幸福感の向上に結びつくことを示しました。
ヘイズらの研究によると、自分の感情を抑え込むより受け入れた方が、抑うつ症状が約30%低下することが報告されています。
また、自己否定的な思考を事実ではなく心の中の出来事として観察することで、不快な感情に支配されにくくなることも分かりました。
「受け入れる」と聞くと、「自分に甘くすること」と誤解されるかもしれません。
しかし、本当の自己受容とは、出来ない自分も失敗した自分も含めて、人間としての自然な一部だと理解することです。
ギルバートとプロクターはこれをコンパッションマインド、「慈悲の心」と呼び、人が本来持つレジリエンス、イコール回復する力を取り戻すための重要な鍵だと述べています。
自分を受け入れられる人ほど他者にも優しく、共感的に接することが出来るのです。
まずは、失敗した時に「何やってるんだ」と自分を責める代わりに、「落ち込むのも自然なことだ、今はそう感じているだけ」と言葉をかけてみてください。
ネガティブな感情を消そうとせず、静かに認める。
それだけで心の中に少し余裕が生まれます。
自己否定を止めることは、怠けることではありません。
むしろ、自分を回復させ、もう一度前に進むための優しい勇気なのです。
ギルバートとプロクターの研究とヘイズらの研究が共通して伝えるのは、「人は自分を受け入れるほど強くなれる」ということです。
「こんな自分でいいのか」と悩んだ時こそ、「この自分でいいのだ」と静かに言葉をかけてあげましょう。
戦うことでは心は回復しません。
自分を責めるということは止めて、受け入れることから始まるのです。
(『「説明」がうまい人がいつも頭においていること』より引用)
ネガティブな感情は無理に消そうとしなくてもいいんです。
そしてそんなネガティブな感情が生まれてしまった、自分のことも責める必要はありません。
ただただ、その感情を拒絶せずに受け入れてみてください。
上記の引用の通り、「受け入れる」ことは「自分を甘やかす」ことではありません。
それはあなたがもうこれ以上、あなた自身を傷つけないようにするための心のケアです。
とは言っても、最初は何だか照れくさくて素直に受け入れられないかもしれません。
今まで「受け入れる」ということをしてこなかったのですから、そう思うのが当たり前でしょう。
照れくささという抵抗感を拭うには、「受け入れる」ということがどういうことか理解を深めることです。
同じ章の『21 過度な個性抑圧 自分の個性を出したらまずいのではないか……。』から、「受け入れる」ことについて次の通り詳細を語っています。
自分に優しくすることで、自分のことを受け入れられるようになる
自分を抑えるほど、心は疲れていく。
違いは孤立ではなく多様性の一部であり、個性は魅力の源になる。
多様性が認められる時代になり、街を歩けば様々な人に出会います。
自分も「いろいろな人を受け入れたい」と思っているはずなのに、いざ自分の個性を前面に出すとなるとなかなか勇気が出ない。
そんなことはありませんか?
テキサス大学オースティン校の心理学者クリスティン・ネフは、その葛藤を和らげる鍵としてセルフコンパッション、「自己慈悲」を提案しています。
自己肯定感とは異なるセルフコンパッションとは、セルフコンパッションは自分に優しくするための3つの要素から成り立っています。
- 自己への優しさ
失敗しても自分を責めず、友人に接するように優しい言葉をかけること。
- 共通の人間性の理解
苦しみや失敗は自分だけでなく、誰もが経験するものだと理解すること。
3.マインドフルネス
辛い感情にのめり込まず、「今ここ」を冷静に感じること。
(『「説明」がうまい人がいつも頭においていること』より引用)
セルフコンパッションは「自己への優しさ」、「共通の人間性の理解」、「マインドフルネス」の3つの要素から成り立っています。
「自己への優しさ」についてはここまでの説明で理解されたはずです。
しかし、「共通の人間性の理解」と「マインドフルネス」に関しては上記の引用から、それらを正しく理解するにはまだ不十分でしょう。
なので、「共通の人間性の理解」と「マインドフルネス」の詳細についてこれからご説明します。
まず「共通の人間性の理解」とはどういうことなのか、以下の通り文章は続きます。
ここで大事なのは、セルフコンパッションは「他者より優れている」と感じることで保たれる自己肯定感とは違い、比較に依存せず、「ありのままの自分を認める姿勢」だという点です。
「もっと良い自分でいなければ、人より劣ってはいけない」と思い込むと、現実とのギャップから強い自己批判が生まれます。
やがて孤立感や不安に繋がり、心が疲弊してしまうことも少なくありません。
失敗や弱さを否定し続けることは、心に大きな負担を与えてしまうのです。
セルフコンパッションはこうした悪循環を断ち切る助けになります。
自分の感情を優しく受け止め、「自分も人間だから苦しい時がある」と理解することで安心感や安定を取り戻すことが出来ます。
「自分だけが特別にダメなんだ」と思い込む時もありますが、セルフコンパッションの視点ではそれは錯覚です。
人は誰でも悩み、失敗し、弱さを抱えています。
それは特別な欠陥ではなく、人間である証拠なのです。
この理解が深まると、他者と違うことは孤立ではなく、多様性の一部だと気付けます。
自分の違いや個性はむしろ魅力の源なのです。
(『「説明」がうまい人がいつも頭においていること』より引用)
心に余裕がない時、人はつい「自分だけが」と思い込んでしまいがちです。
「自分だけがこんなに苦しんでいる」とか、「自分だけがこんなに頑張っている」など、自分に焦点が当たり過ぎて周りが見えなくなってしまいます。
そんな時に視野を広げてくれるのが、「共通の人間性の理解」です。
「自分だけが」という思いを、「共通の人間性の理解」を通して「自分だけじゃない」と思えるようになることで、自分自身を傷つけてしまう思考を止めてくれます。
自分に優しくするには、まずは手袋をはめてみましょう『すぐれたリーダーほど自分にやさしい』の記事にも、セルフコンパッションの内容についてより詳しく書かれているので、セルフコンパッションに興味を持たれたらこちらの記事もご参照ください。
上記の引用からセルフコンパッションの一部である「共通の人間性の理解」とは、どういうことかがわかりました。
では、「マインドフルネス」とは何なのでしょうか。
「マインドフルネス」について、以下の通り解説しています。
マインドフルに感情と向き合うことで心の視野を広げる。
セルフコンパッションの実践には、マインドフルネスも欠かせません。
マインドフルネスとは、今この瞬間に起きていることを評価せずにそのまま感じ取る力のことです。
今、ここにある自分の気持ちや体の感覚にそっと注意を向けます。
呼吸や体の感覚、心の動きを静かに見つめることで過去や未来の不安に飲み込まれず、心が少しずつ落ち着いていきます。
ネガティブな感情に囚われると、自分の欠点ばかりに目が向いてしまいますが、「これは一時的な気持ちだ」と気付けば心の視野はグッと広がります。
感情をそのまま受け止めることが、自己への優しさや共通の人間性の理解に繋がるのです。
そして自分らしさを認めることは、自己肯定感を上げ、幸福感に繋がる大切な一歩なのです。
(『「説明」がうまい人がいつも頭においていること』より引用)
人の思考は過去の後悔や、未来の不安に囚われやすい特徴があります。
その特徴について、あなたも心当たりがあるのではないでしょうか。
考えすぎてしまう内容を思い返してみると、たいてい過去か未来のことであるはずです。
しかし、私達が生きているのは、「今、この瞬間」です。
その「今、この瞬間」に意識を全て向けることで、過去と未来から今に意識を取り戻してくれるのがマインドフルネスです。
今、自分が感じていることをありのまま受け入れてみることは、自分の気持ちも受け止めやすくしてくれます。
マインドフルネスについては、ハウスケアラボ様に心点観測所が掲載されましたの記事により詳しく書かれているので、こちらの記事もよろしければご参照ください。
ここまでセルフコンパッション、自分に優しくすることとはどういうことかについて見てきました。
それだけ自分に優しく出来ずに、自分自身のことを責めてしまう人が多いことがわかります。
自分を責めてしまうような自己批判や自己否定をする考え方を改めるには、セルフコンパッションを使って今までの見方を変えなければなりません。
実は、この見方を変えることの効果の高さは他の実験でも明らかになっています。
本書の第6章の『”前に進める思考”だけを残す【考えてもいいことリスト】』の『08 怒りのとらえ直し なぜ、私は怒っているのだろう?』から、見方を変えてみることの効果の高さについて次の通り言及しています。
見方を変えてみる効果は脳科学的にも証明されている
とらえ直すことは怒りを鎮める科学的な感情調整法。
誰かの言葉にカチンときた時、電車が遅れて焦った時、そんなイライラ、モヤモヤの瞬間、私達は感情の渦に巻き込まれがちです。
しかし、そのイライラ、モヤモヤを無理に考えないようにしよう、手放そうと我慢するよりも、あえて考えてしまう方がいいこともあります。
ただ、考え方には工夫が必要です。
その工夫が「とらえ直し」という方法です。
とらえ直しは脳を理性モードに切り替える。
ルーマニアのバベシュ・ボヨイ大学のサザスらは怒りを感じた時の対処法として、「感情を抑え込む」、「ただ受け入れる」、「状況をとらえ直す」の三種類を実験で比較しました。
結果、最も感情を穏やかに保てたのは、「とらえ直し」を行ったグループでした。
例えば、電車が遅れて腹が立つ時に、「安全確認のために止まってくれているんだ」と考えを切り替える。
事実は同じでも、見方を変えるだけで心の中の温度が下がるのです。
(『「説明」がうまい人がいつも頭においていること』より引用)
とらえ方、見方を変えることで感情を落ち着けることが出来ます。
これは自分の中で腹落ちする感覚に似ているかもしれません。
自分の中で湧き上がった感情を無理やり飲み込もうとするのではなく、見方を変えることで感情を咀嚼し、飲み込みやすいようにする。
そうすることによって感情を自分の中で胃もたれせず消化することが出来ます。
湧き上がった感情のまま暴れてしまったり、無理やり感情を抑え込もうとしても、結局はモヤモヤする感覚が抜けないままになってしまいます。
そこで見方を変えることによって、後腐れなく感情を切り替えることが出来ます。
見方を変えることで感情を切り替えられるのは、違う実験でも以下の通り証明されています。
このとらえ直しは脳科学的にも裏付けられています。
スタンフォード大学のブレッチャードらは、被験者に起こった表情を見せる実験を行い、脳の活動を比較しました。
怒りの表情を見たグループは強いネガティブ感情を示しましたが、「なぜこの人は怒っているんだろう?」と理由を考える、とらえ直しを行ったグループでは感情の悪化が見られませんでした。
脳の活動を分析すると、怒りに反応する後頭部の活動が鎮まり、代わりに論理的思考を司る前頭葉が活発になっていたのです。
つまり、とらえ直すことで脳は感情モードから、理性モードへと切り替わるのです。
脳の仕組みで見ると、怒りや不安、嫉妬といった感情を処理しているのは、脳の奥深くにある扁桃体や島皮質と呼ばれる部分、大脳辺縁系です。
一方で、冷静に考えたり、状況を整理したりする理性的な思考には、脳の表面近くにある前頭前皮質、大脳辺皮質の一部が関わっています。
前頭前皮質などの考える脳が働くと、扁桃体などの感じる脳にブレーキをかける回路が活性化し、感情の暴走を鎮めてくれるのです。
こうした仕組みは、「とらえ直し」と呼ばれる感情調整法の脳科学的な土台になっています。
つまり、感情をただ我慢するのではなく、別の角度から考え直すことで脳が自然に落ち着きを取り戻す。
それが理性的に考えることの力なのです。
感情をやみくもに抑え込もうとすると、反動で強まることがありますが、とらえ直しは出来事はそのまま、解釈だけを調整するわけですから持続的です。
小さな視点の入れ替えが、心の温度を一度下げてくれます。
イライラした時、「落ち着け」と自分に言い聞かせるより、「別の見方をしてみよう」と考える方がずっと建設的です。
「どうしてこの人はそんな言動を取るに至ったのだろう?」と相手の背景を想像してみる。
「この出来事は一年後、五年後、十年後にどれくらい自分にとって重要か」と状況を広い視点で見てみる。
こういったちょっとした考え方の方向転換が、イライラ、モヤモヤ、クヨクヨのスイッチを静かにオフにしてくれます。
(『「説明」がうまい人がいつも頭においていること』より引用)
「見方を変える」というと、「言葉遊びだ」と反発する気持ちが生まれたかもしれません。
ですが、見方を変えるのは、単なる言葉遊びではありません。
見方を変えることの効果に科学的根拠があるのは上記の引用の通りです。
科学的にも証明されている、自分自身の感情に落ち着きを取り戻せる行為です。
実を言うと、「見方を変える」ことを「言葉遊びだ」と私も以前はそう思っていました。
だから、もしあなたが見方を変えることを「言葉遊びだ」と思われていても、その気持ちはわかります。
しかし、私は実際に見方を変えることで自分のことを責めるのをやめられて、自分自身に優しくすることが出来るようになりました。
それは紛れもない事実です。
このサイトのプロフィール欄をご覧になったことはあるでしょうか。
もしパソコンで見られているなら右側の画面にプロフィール欄が表示されており、スマートフォンで見られているならページ数とサイト内検索の間にプロフィール欄が表示されています。
プロフィール欄の文章にはサイトの管理人である私の名前と、サイトの概要について簡潔に載せています。
その文章には、「もし、今あなたが何か悩みを抱えていて苦しんでいるのであれば、それは度数の合わないメガネを掛け続けているようなものです」という一文があります。
私は見方を変えない状態のことを、「度数の合わないメガネを掛け続けている」と表現しました。
それは自分を責めてしまう様な考え方をし続けていては、ずっと気疲れしてしまうという私自身の体験談から来ています。
先にも述べた通り、私自身も以前は考えすぎてしまい、自分を責めてばかりいました。
ただそれは見方が、視界が狭かっただけだったと、今振り返ってみるとそう思います。
出来事に対して、どういった見方をするかは本来は自由です。
しかし、自分のことを責めてばかりいると、そういった当たり前のことにも気付けなくなってしまいます。
むしろそういった考え方に対して、かつての私のように「ただの言葉遊びだ」と反発してしまう気持ちが生まれます。
もし、あなたが「言葉遊びだ」と思われていても、あなたも心の中では本当はわかっているはずです。
そうやって自分自身を責めてしまう見方をし続けていても状況は何も変わらないどころか、あなた自身の心が疲弊してしまっているだけです。
あなたがそう思う気持ちがわかるのは、私も同じ経験をしてきたからです。
ですから、同じ道を歩んだ先輩である私から、あなたに一言言わせてください。
「それでは視界はぼやけて何も見えないどころか、その様な見方をし続けていては疲れてしまうだけです」
これもまたプロフィール欄に書かれている言葉ですが、この言葉もまた本心です。
続けて、この言葉もあなたに送ります。
「あなたに合った度数のレンズを見つけられるように、私も一緒にお手伝いさせてください」
あなたが考えすぎてしまうのは、あなたの見方が間違っていただけです。
あなた自身に問題があったり、悪いところがあったわけではありません。
ただ、見方を変えてみる方法をこれまで知らなかっただけです。
なので、あなたにあったレンズを、見方を見つけることをあなた自身が諦めないでください。
このサイトを通して、私は何度でもあなたに合った見方を変えてみる方法をこれからも提供し続けます。
あなたに合うかもしれない新しい見方を見つけるために、まずは本書をぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
本記事を最後までお読みくださり、ありがとうございました。
こちらの書籍はAudibleでもご利用頂けます。
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