違う世界線に移行しても人が変われないのは、心の中の主語が変わらないから
「あの時、違う道を選んでいれば、今とは違う世界線を生きていたかもしれない」。
過去の選択を振り返って、そんな風に思ったことはないでしょうか。
ですが、たとえ違う世界線に移行しても、人は変われません。
違う世界線で変わるのは選んだ道だけで、選んでいるあなた自身は何も変わっていないからです。
私達が過去の選択を後悔する時も、新しいことを前に怖くて動けなくなる時も、心の中の主語は「自分」ではなく、いつの間にか「誰か」に入れ替わっています。
本当に変える必要があるのは過去の選択ではなく、今のあなたの心の中で何が主語になっているかです。
この記事では、違う世界線の自分を想像してしまう心の仕組みと、主語を自分に戻す方法をお伝えします。
今回ご紹介する『「やっぱり怖くて動けない」がなくなる本』は、怖くて動けない人が最初の一歩を踏み出すための背中を押してくれる本です。
著者の石原加受子さんは、「自分中心心理学」を提唱する心理カウンセラーで、心理相談研究所オールイズワンの代表を務めています。
いつも本サイトを訪れて記事を読んでいただき、ありがとうございます。
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「世界線」とは:選んだ道の数だけ分かれていく世界
「世界線」という言葉があります。
もともとは物理学の相対性理論で使われる用語で、物体が時間と空間の中でたどる道筋のことを指します。
それが今では、例えばAとBという選択肢があった時に、Aを選んだ世界とBを選んだ世界が両方存在するとして、そのそれぞれの世界を指す言葉として使われています。
いわゆる「パラレルワールド(並行世界)」に近い意味です。
この意味での「世界線」は、選んだ選択肢でその後の展開が変わるアドベンチャーゲームなどを通して広まったと言われています。
しかし、近年ではネットを中心に言葉の認知度が上がったからか、ゲームだけではなく曲の歌詞など違う分野にも使用されるようになりました。
さらにはYouTubeやテレビでも、出演者が何かの感想を述べる際にもこの言葉が使われることがあるので、あなたもどこかで「世界線」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
「あの人とは生きてる世界線が違う」のように、同じ時代を生きていても見ている景色がまるで違う相手を表す時にも使われます。
「あの時、違う道を選んでいれば」と思ってしまう時
人生の重要な場面で選択を迫られることは誰にもあります。
例えば、高校を卒業したら就職するか進学するか。
進学するとしたら、大学か専門学校か。
大学に進学するとしたらAという大学か、それともBという大学か。
これはあくまで一例ですが、私達は人生の分岐点に立つたびに決断を迫られ、これまで多くの選択をしてきました。
ただ、決断を行った後にこう思ったことはないでしょうか。
「私はこの選択をしたけれど、本当は他の選択肢を選んだ方がよかったのではないか」と。
自分とは「生きてる世界線が違う」ように見える人を目にした時ほど、選ばなかった方の道が輝いて見えるものです。
私自身、以前は選んだ選択肢を後悔してばかりでした。
「あの時、別の選択肢を選んでいたら」と思ってばかりで、それが結果論だと頭でわかっていながらも、腑に落ちない自分がいました。
その頃のことは、自分で決められる人になりたいなら、選択する大切さを理解しましょう『7日間で自分で決められる人になる』の記事でも書いています。
たとえ違う世界線に移行しても、同じ結末を迎えてしまう理由
「本当は他の選択肢を選んだ方がよかったのではないか」という思いに対して、著者は次の通り答えています。
仮にあなたがタイムマシンに乗って、あなたが思う人生の岐路でもしあの時に戻って違った選択をしたとしましょう。
(中略)
あなたがどんなに過去に遡ってAという選択をしようが、Bという選択をしようが、Cの選択をしようが、ほとんど今と変わらない結果になっているでしょう。
(中略)
それはあなたがそうやって今を後悔するのは、決してあなたの過去の選択が誤っていたことが問題ではないからです。
(『「やっぱり怖くて動けない」がなくなる本』より引用)
著者は、たとえ過去に戻って選び直したとしても、あなたはやはり「もしあの時」と、また別の選択を悔やんでいるだろうと書いています。
今のあなたは、過去の自分がその後どうなったかを知っています。
だから、過去に戻ればもっとうまく選び直せると思うかもしれません。
ですが、Aという選択をしたあなたが過去に戻ってBを選んだところで、その先はあなたが元いたAの世界線とは違う世界線になり、あなたにとって未知の世界です。
確かに、違う選択をすれば、周りの現象は多少変わるかもしれません。
しかし、それは「違う選択をした」というだけで、「あなた自身が変わった」わけではないのです。
それならたとえBという世界線に移行しても、内面は何も変わっていないのですから、結局同じようなことで悩んでいるのは想像に難くないでしょう。
よく後悔するときに「過去のあの時に戻りたい」と言いますが、たとえ過去に戻ってもあなた自身は何も変わらないのですから、過去に戻ったところで意味はありません。
そもそもタイムマシンはこの世に存在せず、過去に戻ること自体が出来ません。
それにも関わらず、私達はいつまでも過去にした選択を引きずってしまいます。
「理屈ではわかっても受け入れられない」気持ちの正体は恐れ
ここまでの文章を読んで、「理屈ではわかっていても、感情が受け入れられない」と思われたかもしれません。
私自身も、まさにそうでした。
その「感情」こそが、本書の言う他者中心の意識であり、「恐れ」です。
「今の自分を受け入れられない」、「この先も、選んだ道を受け入れられない自分がいるのではないか」という恐れです。
今にも未来にも目を向けられないなら、当然意識は過去に向きます。
ただ、起こった出来事をいくら掘り返しても、過去は何も変わりません。
自分自身の「恐れ」、他者中心の意識を変えなければ、何も変わらないのです。
恐れを生むのは「~しなければならない」という他者中心の意識
では、他者中心の意識とは何でしょうか。
「相手の立場になって考えなさい」
子供の頃にいたずらをしたり、何か悪いことをして、怒られて注意された時によく聞く言葉です。
ですが、普段から「どうしてあの人はこんなことをするのだろう」とか、「なぜあの人はあんなことを言ったのだろう」と相手の言動や態度が常に気になって、分析してしまうことはないでしょうか。
本書は、そうした場合は要注意だと説いています。
事あるごとに相手を分析してしまう理由について、本書では次の通り見解を示しています。
あなたの中に言いたくても言えない、やりたくてもやれないという気持ちが潜んでいるからです。
(中略)
そうやって様々な恐れを抱いてしまう大きな理由のひとつは、相手のことに囚われていたり、社会常識・一般常識に囚われて、「~しなければならない」という他者中心の意識に陥っているからです。
(中略)
この「~しなければならない」の中には、あなたの「~したい」という欲求や願望がありません。
(『「やっぱり怖くて動けない」がなくなる本』より引用)
本書によると、言いたくても言えない気持ちの奥には、「人と争うのが怖い」「失敗するのが怖い」「嫌われるのが怖い」といった様々な恐れがあります。
そして「~しなければならない」から始めると、自分の感情を無視して、したくないことも出来ないことも自分に強いることになり、そこから行動することへの恐れが生まれる、と著者は説明しています。
著者の石原加受子さんは、意識の目が他人や周囲に向いている状態を「他者中心」、自分に向いている状態を「自分中心」と呼んでいます。
「他者中心」と「自分中心」については、同じ石原加受子さんの本を紹介した「自分中心」で生きてみてもいいんです『逃げ出したくなったら読む本』の記事でも取り上げています。
こちらの記事では「自分中心」について焦点を当ててより詳しく説明しているので、ぜひこちらの記事も併せてご参照ください。
タイムマシンを待つのも「失敗するのが怖い」も、主語は「誰か」
過去の後悔の話に戻します。
仮に過去に戻るとして、タイムマシンはどうやって手に入れようと考えていますか?
それは「誰か」があなたにタイムマシンを渡してくれるのを期待しているのではないですか?
仮にその「誰か」からタイムマシンを譲り受けて、過去に戻ったとしましょう。
過去の選択をやり直して、あの時とは違う選択肢を選んだ。
すると、「何か」が変わるのではないか。
「過去に戻りたい」と考える時、私達はついそう期待してしまいます。
「誰か」がくれたタイムマシンを使えば、「何か」が変わる。
それって、典型的な他者中心の考え方ですよね?
「自分」ではなく、「存在しない誰かや何か」が主語になっています。
タイムマシンを使って過去に戻るのは一見、自ら行動を起こしているように見えますが、根本的な考え方は全て受動的です。
受動的な内面は何も変わっていないのですから、過去の選択を変えたくらいで結局は同じ結果になるのは容易に想像出来ます。
これは、新しいことを始める時の「失敗するのが怖い」という思いと同じ形をしています。
新しいことを始める時に、最初の一歩を踏み出すのはいくつになっても怖いものです。
年を取れば取るほど新しいことに対する抵抗感が強くなり、億劫な気持ちもそれに比例して強くなる。
そんなことはないでしょうか。
「笑われたらどうしよう」とか「失敗したらどうしよう」など、何かに挑戦した時や失敗した時に「誰か」から浴びせられる言葉や態度に、私達は恐怖します。
しかし、これはどこかおかしいと思いませんか?
「自分」が挑戦してみたいと思っていたのに、「誰か」に非難されるのが怖いと思ったからやめる。
主語が「自分」から「誰か」に入れ替わっていますよね。
さらにこの「誰か」は頭の中で思い浮かべた架空の人物であり、存在すらしない。
私達は自分の中から生まれた思いや考えに対して、無意識に「誰か」を思い浮かべて塗りつぶします。
過去への後悔も、新しいことへの恐れも、心の中の主語が「誰か」に入れ替わっているという点で同じなのです。
主語を「自分」に戻す一歩:小さな「~したい」で選んでみる
タイムマシンが発明されるのを待つよりも、自分を変える方がよほど現実的で可能性があります。
では、自分を変えるにはどうすればいいのかというと、本書が提案する「~したい」を優先する自分中心の行動をすることで、少しずつ今抱えている恐れを手放せるようになります。
まずは、後悔や「怖い」という思いが浮かんだ時に、その言葉の主語を確かめてみてください。
「~しなければならない」「~と思われたらどうしよう」と浮かんだら、その主語は「誰か」です。
そこで一度、「本当は自分はどうしたいのか」と自分に問い直してみる。
答えは「今日は休みたい」「この本を読んでみたい」のような、小さなもので構いません。
後悔ばかりしていた私が最初に自分で決めたのも、「本を読んで、自分で決められる人になる」という小さなことでした。
過去を振り返る時に、自分を責める後悔ではなく、次に生かす形で見直す方法は、「あの時ああすればよかった」という後悔はリフレクションで断てます『リフレクション (REFLECTION) 自分とチームの成長を加速させる内省の技術』の記事で紹介しています。
違う世界線に移行しなくても、主語を自分に戻せば、今いるこの世界線の続きは自分で選べます。
ここまで文章を読まれたあなたが今に目を向けて新しいことを始める際に、「やっぱり怖くて動けない」という思いが生まれるなら、まずはその思いから変えるために本書をぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
本記事を最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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こちらの記事は「心理的な抑圧を緩和する」に分類される記事です。
「心理的な抑圧を緩和する」に関して詳しく知りたい方は、まとめ記事一覧表(心理的な抑圧を緩和する)をご覧ください。


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