日本語で一言で言語化が出来ない言葉
普段の日常生活で、造語や略語を耳にする機会は多いですよね。
例えば2023年の流行語大賞に選ばれた「アレ」など最たるものでしょう。
このような流行している物事を一言で表すのが日本人は大好きなのだと日々感じます。
ですが、そんな中でも例外が存在します。
確かにそこに存在することを感じるけど、その状況を一言で表すどころか、上手く説明することが出来ない。
そのひとつが紹介する本のタイトルにも使用されている「シャーデンフロイデ」ではないでしょうか。
「シャーデンフロイデ」とは何か
「シャーデンフロイデ」とは、他人を引きずり下ろしたときに生まれる快感のこと。成功者のちょっとした失敗をネット上で糾弾し、喜びに浸る。実はこの行動の根幹には、脳内物質「オキシトシン」が深く関わっている。オキシトシンは、母子間など、人と人との愛着を形成するために欠かせない脳内ホルモンだが、最新の研究では「妬み」感情も高めてしまうことがわかってきた。なぜ人間は一見、非生産的に思える「妬み」という感情を他人に覚え、その不幸を喜ぶのか。現代社会が抱える病理の象徴「シャーデンフロイデ」の正体を解き明かす。
(『シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感』の紹介文から引用)
ネットでよく見る光景である、メディアに露出している人の発言から揚げ足を取ったり、失敗したことを何かにつけて叩く人たちは正にこのシャーデンフロイデの感情が起因となって行動していると言えるでしょう。
何故自分の人生とは関わりのない人達にこれほどエネルギーを注いでまで、引きずり下ろそうとするのかが、この本紹介から引用した文章からでも何となく理解が出来たのではないでしょうか。
この本に出合う前は、日常生活で直接関わりが無くメディア等で一方的にしか相手のことを知らない赤の他人がネットで誹謗中傷を行い、それが書き込まれた相手の精神に大きな損失を与える行為にも関わらず、その人物に非があれば黙認されている様なネット上のこの風潮がとても不気味でした。
ですが、読了後はその不気味な感情も薄れていき、私はその行為の真意が「わからない」からこそ、その風潮に恐怖心を覚え不気味な印象を持っていたことに気が付きました。
「わからない」という状態は恐怖心を過敏にする増幅器の様なものです。
お化け屋敷はどこからどんなお化けが出て来るかわからないからこそ怖いのであって、それが入る前からわかっていれば、恐怖心はだいぶ薄れますよね。
ネットで攻撃する人たちがどの様な思考と心理状態なのかを知っていると、その行為に賛同は出来ずとも理解さえしていれば、今後その様な光景を見ても無意識にその様な人たちに加担して流されることが無くなるでしょう。
また、その様な人達から仮にあなたが標的にされて叩かれても、相手の思考と心理状態を把握しているので感情的にならずに冷静に対策を立てて自己防衛を行うことも出来ます。
本書では脳科学者である著者の視点から「シャーデンフロイデ」に関する詳しい解説を行っているので、本書を読んでみて「わからない」状態から脱却してみてはいかがでしょうか。
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