自信を持ちたいなら、その定義を正しく理解するところから始めましょう『「どうせ無理」と思っている君へ 本当の自信の増やしかた』

心理的な抑圧を緩和する
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自信があれば先延ばし癖を止められる

「明日から本気出す」というネット用語があります。

今出来ることを先延ばしにして明日からやればいいやという意味なのですが、目にしたどころか実際にこの言葉を使ったことがある方もいるのではないでしょうか。

「今はまだ本気を出していないだけ」と自分に言い訳をすることで心の安寧を図っているのですが、根底にあるのは「どうせ無理だからやりたくない」という思いからです。

何かにすぐ挑戦する人はフットワークが軽くて失敗を恐れない。

そんなことは頭ではわかっているのだけれども、実際に行動に移すのはかなり気が重い。

それは原動力がないから動きにくいのです。

原動力とは自信のこと、「これなら自分にも出来る」という思いが最初の一歩を踏み出し、途中で歩みを止めないために必要なことです。

では、その自信はどうやって身に付ければいいのでしょうか。

今回ご紹介する『「どうせ無理」と思っている君へ 本当の自信の増やしかた』は、自信の定義から自信の持ちかた、さらには自信の増やしかたまで網羅した書籍です。

いつも本サイトを訪れて記事を読んでいただき、ありがとうございます。

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宇宙開発に必要なのは自信を持つこと

著者の植松努さんは北海道にある会社でロケットを作っています。

町工場で社員は20名。

たった20名でもロケットを丸ごと全部自分達の手だけで作り、打ち上げることが出来ます。

こういう会社は世界でも珍しく、ロケットだけではなく人工衛星も丸ごと全部作れます。

さらにこの会社には宇宙と同じ無重力状態を地上で作り出せる実験施設があります。

この施設はドイツの研究所と、アメリカのNASAと、この会社にしかありません。

ここまでの著者の経歴を見ると、この会社は少数精鋭でとても優秀な人達の集まりですよね。

おそらく社員の方は全員、幼少期から優等生で偏差値の高い海外の大学を首席で卒業した人達で特殊な経歴を持った人達。

そして宇宙開発と聞くと膨大な費用がかかるイメージがあります。

そのお金も著者が宇宙開発に携わる前に多くのビジネスを手掛けて成功させてきたのではないか。

会社の実績からそう考えたのではないでしょうか。

ですが、そんな想像は全く的を射ていないことが本書を読んで明らかになります。

この会社の宇宙開発の資金はたった20人の工場で稼いだお金だけで出来ています。

なぜならば、今は材料が安いから。

例えばロケットの材料になる特殊なプラスチックは普通にホームセンターで買えます。

昔なら特殊な人しか買えない高価な物でした。

でも今は国道沿いを車で行けば買えてしまう品物です。

そして最先端のことをするときには、学歴はあまり関係ありません。

例えばこの会社には大学で宇宙のことを勉強した人はいません。

なぜならば、必要がないから。

宇宙開発は教科書に書いていません。

そもそも誰もやったことがないからです。

未知への挑戦に必要なのは学歴ではなく、興味と好奇心。

それさえあれば出来るのです。

この会社には高校を出ていない人も、小学校から学校に行けていない人もいて、普通に宇宙開発をしています。

誰もやったことがないことだから、誰にでもチャレンジ出来る。

チャレンジするために必要なのはお金でも学歴でもない、自分を信じて自信を持つことです。

これから新しい時代を生きる君は最高にラッキーです。

そんなラッキーな君がどうして自信を持てないのか、どうしたら自信を取り戻せるのか、どうしたら自信をエンジンにして夢に向かって自分を打ち上げられるのか、そんなことをこの本では書いていきます。

本書の「はじめに」の文章を一部引用して著者の会社と本書の目的に関して簡潔に説明しました。

本書は主に学生に向けて書かれていますが、大人にもとても刺さる内容になっています。

自信が主題なので自信に関連する内容について書かれているのですが、自分自身と向き合うことだけではなく、人間関係にも深く切り込んでいます。

人間関係、自分を取り巻く周囲の人間を理解しておくことも自信を身に付けるには必要なことであると本書を読むと納得出来ます。

著者が学生時代に経験した人間関係で起こった出来事はおそらくあなたも経験したことがあるでしょう。

その時その出来事に対して著者はどう思ったか、どのような受け止め方をして自信に結び付けたのかが書かれているのですが、その中で私が特に印象に残ったのは自信と優越感の違いに関してです。

競争で勝って得られるのは自信ではなく優越感

子供の頃から私達は他人と競争して何かを比べ続ける世界に身を置いていました。

そして大人になった今も、その時に形成された価値観から自分と他人を比べ続ける大人がたくさんいます。

著者は競争に関して次のように述べています。

学校に行ったことがあるなら、おそらく全員何かしら競争をしたことがあると思います。

勉強、スポーツ、絵や音楽、かわいさ、かっこよさ、全てに順位が付けられます。

なぜなら競争は子供に自信を持たせるいい方法だと信じて疑わない大人がたくさんいるためです。

僕の見るところかなりの数の先生や親がそう思い込んでいます。

(『「どうせ無理」と思っている君へ 本当の自信の増やしかた』より引用)

この後に著者は「誰かと比較することで自信を持たせようとするやり方は間違っていると思う」と続けて、「誰かと比べたり、何かの勝負に勝ったりして生まれるのは自信ではなくて優越感です」と述べています。

この「優越感」は私達は簡単に感じることが出来ます。

例えば、自分よりも悪い境遇にいる人を見ることで「あの人よりはマシかな」と思ったことで得られるあの充足感。

他者を見下すと心の中に何かが埋められたような気がして安堵しますが、その何かが「優越感」です。

そしてこの優越感は悪質なウィルスでもあります。

感染力がとても高く大人になったままでもこのウィルスにかかった人がたくさんいます。

そんな大人も簡単に見ることが出来て、ネット上で誹謗中傷を繰り返す人達が正にそうです。

感染力の高さも「悪いのは叩かれている人だし、周りの人がしているなら自分もやってもいい」という同調のしやすさを考えれば納得がいくでしょう。

それに対して自信とはどのような状態を指すのでしょうか。

自信に関しては以下のように説明しています。

自信は優越感とは違います。

自信は自分の内側から湧き上がってくることで誰かと比べる必要はありません。

一人でいても輝き続け何があってもなくならないのが自信です。

(『「どうせ無理」と思っている君へ 本当の自信の増やしかた』より引用)

誰かと何かを比べ続けて生きてきた私達には、比べる必要のない何かを思い起こそうとしても何も思い浮かばないのではないでしょうか。

筆者はあるひとつの回答例を提示しています。

著者は幼少期の頃、祖父から「優しいね」と褒めた経験があります。

もし「頭がいい」や「かっこいい」とか褒められていたら誰かと比較し続ける世界に身を置き続けていたかもしれませんが、「優しい」には比べるものがなければ限度もありませんと言及されています。

優しさとは「これだけ多額の寄付をしたのだから私は優しい人達の中でも上の方だ」とか「これだけ多くの人の役に立つボランティア活動を長年行ってきたから私は優しい人達の中でも上から数えた方が早い」といった競争に支配されていない珍しい世界です。

優しい人はそもそも相手のことを考えて行動が取れるので、相手を傷つけたり不快な気持ちにさせません。

「自分がこの世界で一番優しい人になるんだ」という競争に基づいた考えで動いているのではなく、「困っている人に手を差し伸べたい」という純粋無垢な思いからです。

あと繰り返しになりますが、これはあくまで一例です。

優しさだけが自信を持たせてくれる唯一の手段ではありません。

本書のタイトルは『「どうせ無理」と思っている君へ 本当の自信の増やしかた』です。

著者は「自信は生まれた時から人間誰しもが皆持っているものであり、今自信を持っていないと感じている人はその感覚を忘れているだけ」だと述べています。

元々自信を持っていたことに気付き、その自信を増幅させようとするからタイトルが「持ちかた」ではなく「増やしかた」になっているのではないかと推測しています。

あなたが生来持っていた自信に気付き、その自信を増やしたいならぜひ本書を読んでみてはいかがでしょうか。

本記事を最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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