身近にいる伝え方の達人
なんとなくテレビを見ていたら、あっという間に時間が過ぎていた。
そんな経験は誰にでもあると思います。
最近はYouTube等の動画サイトで動画を見る方が多く、テレビをあまり見なくなった方もいるかもしれません。
しかし、テレビは今もなんとなく見てもあっという間に時間が過ぎてしまうものです。
YouTubeはだいたい30分弱でひとつの動画を見終えられますが、テレビはひとつの番組を見終えるのに60分弱かかってしまいます。
それでも、飽きずに最後まで見終えられるのは制作者の創意工夫と努力が詰まっているからです。
そのノウハウを知れば、私たちも情報が自然と頭の中に入ってくるような相手にわかりやすく伝えられる技術が身に付くのではないか。
今回ご紹介する『ありふれた言葉が武器になる 伝え方の法則』は、テレビ番組の制作に長年携わってきた著者がその経験を通じて、伝え方のノウハウを凝縮した本です。
いつも本サイトを訪れて記事を読んでいただき、ありがとうございます。
こちらの書籍はAudibleでもご利用頂けます。
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著者の本橋亜土さんは大学卒業後、番組制作会社に就職しテレビ業界に入りました。
フジテレビのバラエティ番組のAD、アシスタントディレクターからスタートし、ディレクターやプロデューサーとしてドキュメンタリー番組、情報番組、バラエティ番組など様々な番組の制作に携わります。
著者が携わった番組の制作で放送中、もしくは最近まで放送していた番組をいくつか挙げると、「王様のブランチ」、「行列のできる法律相談所」、「嵐にしやがれ」、「しゃべくり007」、「人生が変わる1分間の深イイ話」、「課外授業 ようこそ先輩」など誰でも知っているような人気番組の制作にも携わっています。
その後、38歳の時に独立。
現在は、テレビ番組及びその制作ノウハウを生かした企業のPR動画を制作する株式会社スピンホイストを経営しています。
著者は20年以上テレビ番組を作り続けてきました。
ですが、最初から順風満帆で番組制作が出来たわけではありません。
著者が若手ディレクターだったころ、VTRをうまく作ることが出来ませんでした。
まともにVTRを作れないディレクターは左遷させられてしまいます。
そこでゴールデン番組を片っ端から録画し、その構成を徹底的に分析してノートに書き出しました。
すると、テレビ番組はいくつかのパターンを組み合わせて出来ていることに気付きました。
そのパターンは長いテレビの歴史の中、シビアな視聴率競争によって磨かれ続けてきたものです。
そしてそれらは口伝、つまり口頭で伝えられてきたのでマニュアルは一切存在しません。
各テレビ局の制作現場に伝わる門外不出の勝ちパターンを伝え方の法則と名付け、体系化言語化したものが本書です。
門外不出の勝ちパターンと聞くと難しそうで、私たちがそのノウハウを知ったところで実践出来るのかと尻込みしてしまいますよね。
ですが、それは誰にでも習得できると著者は断言しています。
私たちが抱いている伝え方に関する誤解を次のように述べています。
勘違いしている人が多いので、最初にお伝えしておきます。
話が上手い人、説得力のある説明が出来る人は素晴らしい才能やセンスを備えているのではありません。
その差は伝え方の勝ちパターンを知っているか知らないかの違いなんです。
本書では、決められた位置にある一言を入れるだけで言葉が格段に強まり、注目を集めることが出来る、ある言葉を付けるだけで相手の頭の中が一気にクリアになり記憶に残る、心に刻まれるようになる、言葉の組み立てを変えるだけで交渉の成功率が格段に上がる、など誰でも簡単に今日から使えるテクニックを紹介します。
その基になるのがテレビ番組制作のノウハウです。
私たちが普段何気なく見ているテレビ番組を構成するひとつひとつのカットには全て狙いがあります。
そして、その効果を最大化するために確立されたパターンが存在します。
テレビ番組はそれらを駆使して緻密に構成、編集されているんです。
「ちょっと5分だけ見よ」と思っていたのに、結局最後まで見てしまった。という経験がある人も多いでしょう。
こういった行動の裏には、視聴者にチャンネルを変えさせず、伝えたい情報を自然に視聴者の頭に入れるための様々な仕掛けがあります。
自分で番組を選んで見ている様で、実際は見せられているということも多々あるんです。
しかも、そう思わせることなくです。
この様にテレビ業界には確立された伝え方の勝ちパターンが存在します。
作り手であるディレクター達はそれに従って、強く伝わる番組を作り続けているわけです。
そのノウハウがいかに優れているか、それは番組放送後、紹介されたお店に行列が出来たり、商品が品切れになったりすることからでもわかると思います。
何かを伝える時も同じです。
テレビを見てみると番組もコマーシャルも魅力が伝わるような印象的な一言で溢れています。
そしてその一言が流行語大賞に選ばれるなんてことも多くあります。
流行語に選ばれるということは、自然と頭の中にその言葉が入って日常的に使われているということです。
伝えたい情報を自然に視聴者の頭に入れるための仕掛けに自信を持っているのも納得出来ます。
本書で紹介されている数々の仕掛けの中でも特に印象深いのが「扉をつける」ことです。
扉をつける
テレビ業界には「扉をつける」という言葉があります。
簡単に言うと、情報をあらかじめ整理された状態で相手の頭に入れることです。
例えば、昼の番組でおいしいゆで卵の作り方を紹介するとします。
そんな時、テレビではただ時系列でやり方を説明するわけではありません。
各段取りの冒頭に共通の背景画面と音楽が流れ、「おいしいゆで卵の作り方その1、ゆで時間にこだわる」、「おいしいゆで卵の作り方その2、ゆでた直後の温度管理にこだわる」と言ったようにそれぞれのタイトルが入った見出しカットという映像を流してから、各工程の詳細な説明に入ります。
その後も「その3」、「その4」と続き、全ての工程を整理して説明します。
これによって、見ている側は「ああ、おいしいゆで卵を作る要素は4つあるんだ」という心構えと認識が出来るので、集中力を途切れさせることなく最後まで見てくれるようになります。
ひたすら頭から段取りを並べるのではなく、扉を使ってポイントごとに区別して伝えてあげる。
そのことで相手の話を聞くコンディションを整えることが出来るんです。
(『ありふれた言葉が武器になる 伝え方の法則』より引用)
本書では伝え方に関して何度も繰り返し出て来る言葉があります。
それは「相手の頭を使わせない」です。
何かを伝える上で相手が頭を使わさせないことがなぜ大切なのかを次の通り解説しています。
情報を発信するときはあらかじめ整理した状態で投げかけること。
理解力、情報処理能力の優れた人は扉のない平坦な事実の羅列で情報を取り入れたとしても、頭の中で無意識に扉をつけ、整理しながら情報を蓄えていきます。
しかし、これには相当頭を使います。
人の話を聞いていて疲れたという経験は誰しもあると思いますが、その原因は情報を自分自身で整理しなければいけないことにあります。
これでは話が相手の記憶に残りませんよね。
だから、こちら側で扉を使って情報を整理した状態で渡してあげるんです。
伝え方の鉄則、相手の頭を使わせないに直結する理にかなった手法です。
この扉に関してですが、扉の数は多すぎてもいけません。
多くても5つくらいに収まるようにしましょう。
これも聞く側の相手の負担を軽くするための心配りです。
相手にどれだけ配慮をして、工夫を凝らせるかが伝え方においてとても大切な心構えです。
本書でも触れられていますが、新型コロナウイルスの影響でオンラインでモニターを通して仕事をしたり相手と交流することが当たり前になりました。
そんな中、モニターを通すと相手に伝わりにくいと感じる方が増えているそうです。
テレビはモニターを通して情報を伝えることに70年以上の長い歴史があります。
その長い歴史の中で培われた伝え方のノウハウを知ることは、今後オンラインでモニターを通して人と接する機会がさらに増えていく私たちにとって大きな助けになってくれます。
普段何気なく見ていたテレビを改めて伝え方という観点から見て情報を得るために、本書をぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
本記事を最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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