「努力という言葉に天才を付ける必要はないはずです」『やり続ける力 天才じゃない僕が夢をつかむプロセス30』

心理的な抑圧を緩和する
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スポーツに思われがちなある偏見

「天才ですから」

漫画の『SLAM DUNK』の主人公、桜木花道が作中で何度も発言する彼の代名詞とも言える印象深い台詞のひとつです。

この言葉を発することで自分自身を奮い立たせることにより、数多くの試練を乗り越えてきました。

スポーツは才能の世界だと思われがちです。

学生の頃、体育の授業で初めて触れたスポーツがあると思います。

『SLAM DUNK』の話題を出したので、あなたがバスケットボールを最初にプレイしてみた時を思い出してみてください。

おそらく遠い昔過ぎてあまり思い出せない人が多いのではないでしょうか。

覚えていないだけで、最初はボールをバウンドしながら走るドリブルやゴールにボールを入れるシュートに苦戦していたはずです。

スポーツ全般に言えることですが、私も含めたいていの人は最初は試合が成り立たないほど基本的な動作すら出来ません。

そこから練習を積み重ねることによって、やっと基本的な動作を習得することが出来ます。

しかし、全くの初心者でも見よう見まねで簡単に出来る人もいます。

そんな人がスポーツの道に進み、才能を開花させてプロになって周囲の人から天才と呼ばれるようになる。

私はそう思っていました。

ですが、そんな考えを大きく変えてくれた本に出会いました。

その本のタイトルは『やり続ける力 天才じゃない僕が夢をつかむプロセス30』です。

いつも本サイトを訪れて記事を読んでいただき、ありがとうございます。

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著者の経歴を見て生まれる誤解

著者の内村航平さんは元体操選手です。

とても有名な体操選手なので、名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

簡単に著者の経歴を紹介します。

体操競技で五輪四大会、北京、ロンドン、リオデジャネイロ、東京に出場し、個人総合二連覇を含む7つのメダルを獲得。

金メダル3個、銀メダル4個、国内外40連勝を達成した世界屈指のアスリートであり、キングの愛称で知られる。

2016年から日本体操界初のプロ選手となり、2021年の東京五輪世界選手権出場を経て、2022年に引退。

現在は講演やイベントのプロデュースを通して、体操競技の普及のための活動に取り組んでいます。

著者の経歴を簡単に紹介しましたが、ここまで読んでみてあなたはどう思いましたか?

「天才だ」と思ったのではないでしょうか。

私もニュースで著者の活躍を度々見ており、こうして経歴を改めて見てみると「やはりこの人は天才の部類に入る人だ」と率直に感じていました。

ですが、本書を読み進めていくうちにそんな思いは誇張だったのだと気付かされます。

著者は3歳の時に体操を始めました。

両親が体操教室をしていたことがきっかけで興味を持ちました。

そこから順風満帆に体操で才能を発揮していったのかと言うとそうではありません。

著者自身も体操を始めた当初はセンスのかけらもなかったと語っており、小学校一年生で最初に出場した大会では最下位でした。

それでも体操が好きで楽しいからという理由で体操を続けました。

小学校一年生の時、鉄棒で蹴上がりが出来たことが著者を変えるきっかけになりました。

その時の感動を次のように述べています。

蹴上がりはすごくシンプルな技です。

鉄棒にぶら下がった状態で、体を前後に振る反動を利用して、上半身を鉄棒の上に持ち上げるだけのものです。

同じ年でも出来る子はいたので、やり方を教わろうともしました。

それでも、なかなか出来ずにいたのです。

それくらい僕はセンスがなく、技を覚えるのが苦手だったということです。

手がボロボロになって、血が出るほどやっていたのにそれでも出来ませんでした。

「どうして出来ないんだろう」と悩みましたが、あまりあれこれ考えずにやってみようと繰り返し試したら、ある日突然出来たのです。

出来たということ自体が衝撃的でした。

体が感覚を覚えられたのか、その後は繰り返し出来るようになったのです。

体操にはおよそ800個の技があります。

僕はその内500個の技が出来ます。

体操競技ではひとつの種目で使う技は最大10個なので、ほとんどの技を試合で使うことはありません。

500個はトップ選手でも相当多い方だと思います。

その原点になっているのが蹴上がりです。

蹴上がりが出来るようになった感動が忘れられなかったからこそ、500の技を身に付けていくことが出来たのです。

著者は幼少期から体操を始めていましたが、最初から才能を開花させてとんとん拍子で成長したわけではないのが伝わります。

必死に努力して食らいつきながら技を習得し成長しました。

しかし、ここまで読んでみてこう思われた方もいるのではないでしょうか。

「著者は努力の天才だから、もともと努力をするという才能があったから出来るようになったのではないか」と。

著者は努力と天才についても本書で触れていますが、少なくとも自身は天才ではないことをタイトル通り本書できっぱりと否定しています。

努力とは、天才とは何か

自分には才能なんてなかったと思っているし、才能という言葉自体が嫌いだということは最初にも書きました。

天才なんて言葉も嫌いです。

天才がどう定義されているかといえば、「天賦の才」生まれつき備わっている優れた才能ということになるのだと思います。

もしかしたら、そういうものを備えた人もいるのかも知れません。

体操でも、すごい技をやる選手を見て「この人天才だな」と口にしたくなることはありました。

でも、本音では天才なんて言葉はない方がいい気がします。

少なくとも、僕は全く違う。

天才であれば、体操を始めたばかりの頃からすぐに色んな技が出来るようになるのでしょうが、僕は周りの子が出来ていた蹴上がりもなかなか出来なかったくらいです。

ブレットシュナイダー(鉄棒の大技)を使えるようになるまでにも7ヶ月かかりました。

何でもすぐに出来る人間ではないからこそ、なんとかしようと自分なりに工夫しながら頑張れるのではないでしょうか。

そこに自分が向き合う対象の面白さが生まれてくると感じています。

小学生の頃も金メダリストになった後も、その点では何も変わりません。

また最近は「努力の天才」といった言い方もされていますが、努力という言葉に天才を付ける必要はないはずです。

ものすごい努力を出来る人が努力の天才だと呼ばれるのだとしても、努力というものは天から授かった才能などがなくても出来ることです。

努力とは、自分がどういう意識でやってきたかという証なのだと思っています。

体操に限らずなんでもそうですが、出来ることを普通と考えるのではなく、出来ないことが普通だと考える。

何かが出来る。

何かが出来るようになるってそれだけ特別なことだと思います。

何でも簡単に出来てしまう人なんていないと思っていた方がいいのです。

苦労して出来るようになるからこそ、喜びがある。

それがわかってくると、出来ないことを出来るようしていくための努力が楽しくなってきます。

(『やり続ける力 天才じゃない僕が夢をつかむプロセス30』より引用)

何かが出来る人を見ると「この人は才能があるんだな」と子供の頃からずっと思っていました。

目に見えてわかりやすいのが勉強とスポーツです。

勉強が出来る子やスポーツが出来る子と何も出来ない自分を比べて、「あの子は才能があるから」とか「あの子は天才だから」と天から授かった能力があるかないかが原因だから、自分自身に問題があるわけじゃないと目を背けたかったのだと今考えるとそう思います。

ただ、出来る人よりも出来ない人の方が割合を考えると圧倒的に多いです。

出来ないのならそこから目を背けずに向き合って、どうすれば出来るようになるかを意識して考えて行動する。

そんな意識すら持っていなかったことに本書を読んで気付かされました。

努力をした方がいいことは頭ではわかっているのですが、それが必ず報われるわけではないことを考えると億劫になっていました。

ですが、それも努力をする対象にしっかりと向き合っていなかったからそう思っていたのです。

努力をする対象に向き合うこと自体は天から授かった才能がなくても、自分の意識ひとつで出来ることです。

この出来たという一歩を踏み出した感覚を自分の中で過小評価したり、その感覚自体を感じない人が多くいます。

例え小さなことでも目標に向かって何か出来たことがあれば、その感覚を大切にして積み重ねていくことが努力と呼ぶのだと、努力に対する考えが改まりました。

そう考えると確かに「努力の天才」という言葉に違和感を覚えるのも納得出来ます。

努力とは己の意識が軸となるのに対して、天才は天から授かった才能が軸になるので互いに全く異なる性質であることがわかります。

もちろん、意識したからといって必ず報われたり見返りがあるわけではありません。

ですが、意識して向き合うことは今後また努力する対象が出て来たときに応用が効きます。

次に新しい努力をする対象に出会ったときに、前回努力した経験を踏まえて向き合うことが出来るので過程に自身の今までの経験を反映させることが出来ます。

では、具体的に努力する対象にどういう意識を持って向き合えばいいのか、その方法を試行錯誤しながら実践して成果を挙げた先人である著者の本を読んで意識を向けてみてはいかがでしょうか。

本記事を最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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