ビュッフェで料理を選ぶ際に、あなたの中で言葉にする感性が磨かれます『13歳から鍛える具体と抽象』

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私事ですが、ビュッフェで多種多様のおいしそうな料理が並んでいるのを見るとテンションが上がります。

「ご飯にしようかパンにしようか」、「ご飯だけでも白米からチャーハン、カレーもあるな」、「おかずは肉にしようか魚にしようか」など実物を目の前にして料理を選べる楽しさは、紙のメニューから料理を選ぶ楽しさとはまた違った楽しさがあります。

ビュッフェでどの料理をどのくらいの分量で取るのかを考えるのは、悩みの中でも楽しさを感じられる素晴らしい悩みだと私は思います。

特に今この記事を読んでくださっているあなたは、何かしらの悩みがあってこのサイトに訪れたのではないでしょうか。

「悩みとは苦しくて辛いものだ」という考えを変えるために、悩んでいる時間が楽しさを感じられるビュッフェに行かれると、あなたの中で考えが変わるきっかけになるかもしれないのでお勧めです。

そしてもしビュッフェに行かれた際は、どの料理を選ぼうか悩んでいる時間を楽しむことともう一点、意識を向けて欲しいところがあります。

それはあなたが実際にどんな風にビュッフェから料理を選んだのかです。

あなたの選び方にあなたが悩んでいることをうまく言葉にするヒントが、実はビュッフェにはあるのです。

今回ご紹介する『13歳から鍛える具体と抽象』はそのヒントとはどんな考え方なのか、そしてその考え方が言葉にする上でなぜ大切なのかをわかりやすく教えてくれる本です。

いつも本サイトを訪れて記事を読んでいただき、ありがとうございます。

こちらの書籍はAudibleでもご利用頂けます。

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抽象的に考えると要領よくビュッフェで料理を選べる

著者の細谷功(ほそやいさお)さんはビジネスコンサルタントです。

ビジネスコンサルタントとして企業の経営方針に助言をする傍ら、仕事の経験で培われた考え方に関する書籍を複数出版しており、本書はその内の一冊です。

「ビジネスコンサルタントが考え方に関して書いた本」と聞くと難しそうですが、本書はタイトルの通り、13歳に向けて書かれているので、例えが国語や数学などの勉強科目から部活動など13歳にとって身近な物で例えられておりとてもわかりやすくなっています。

タイトルにも使われている「具体と抽象」ですが、「具体と抽象」とは一体何なのかを以下の通り説明しています。

「具体と抽象」という言葉について、「具体的」という言葉であれば、聞いたり使ったりしたことがある方も多いのではないでしょうか。

例えば、「話が曖昧なので具体的に言ってください」とか「もう少し具体的な例を挙げた方がわかりやすい」といったことです。

具体的とは、明確でわかりやすく、誰もが心に描いたり、目に見える形にすることで簡単にイメージ出来ることを指します。

これに比べると抽象的という言葉は、あまり使ったり耳にする機会がないのではないかと思います。

目に見えて触ったり写真に撮ったりする物が具体とすれば、反対に抽象は目に見えたり触ったり、五感で感じることが出来ない物です。

例えば、曖昧でイメージしにくい概念のようなものが当てはまります。

他にも、理想、経済、セキュリティ、エネルギーといった言葉で表現されるものが抽象的な物で、これらは大人になるにつれて理解出来るようになって、日常でも使うことが増えていきます。

「具体的」は仕事で何かを説明したりする時など、日常で意識する場面が多く馴染みがある感じがしますが、「抽象的」は意味はわかるけれども日常ではあまり使わない言葉なので、それこそぼんやりとした印象があります。

ただ、抽象的な物で例に挙げられているのは何となくでも理解が出来るはずです。

実はこの「何となくわかる」感覚が抽象を理解することにおいて大切なのです。

「具体的な内容に踏み込まなくても何のことを表しているのかが何となくでもわかること」は物事を説明する際にとても役立ちます。

例えば、「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」という言葉を使わずにゴミの分別に関して相手に詳しく説明しようとすると、ゴミとなる対象を一つ一つ取り上げないといけないので説明が非常に長くなりわかりにくくなってしまいます。

そこで、個別の説明がまとめて一言で済む「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」などといった抽象的な言葉が使われるようになるのです。

このように抽象には他人への説明を短くする力があります。

そして、抽象は他人への説明を短くすることだけに役立つのではなく、自分自身に俯瞰的な物の見方を与えてくれます。

それは様々な場面で活躍しますが、冒頭で話題に取り上げたビュッフェがわかりやすい例として本書で挙げられており、以下の通り説明されています。

ビュッフェ形式で一列に並んで、トレイに順番に料理を取っていくスタイルのレストランに行ったことはありますか。

こういう時に端から「おいしそう」と料理を次から次に取ってしまうと、途中で入りきらなくなったり、逆に「もっとおいしい物が先にあるのでは」と迷って取らないでいると、最後のデザートのところで慌てて最初から並び直したりという経験がある人もいるかもしれません。

これらは試験問題を解く順番やペース配分を間違えたとよく似た構図になっています。

最初に全部ぐるりと料理を眺めておいて、作戦を立てる。

その上で列の最後尾に並べば、最初からペース配分が頭に入っていることで、途中で右往左往したりしなくて済むでしょう。

焼肉店でご飯と焼肉のバランスのペース配分を間違えて、ご飯を先に食べきってしまったとか、おかずを食べるペースや順番なんていうのも似たような話です。

抽象レベルで考えるというのは、全体を見てそれらの順番やバランスを考えることで限られた時間を有効に使うために必要なのです。

料理を端から見て料理を最初に取ってしまうのが具体、最初はどの料理が並べられているかを見て後から料理を取るのが抽象の考え方です。

具体では料理を単品ごとに向き合っていますが、抽象では全体を見てから向き合っています。

この全体を見て考えられることが抽象の特徴です。

個別に向き合うと視野が狭くなりがちになってしまいますが、全体を見ることで視野が広がることは様々な場面で応用が効いて役立ちます。

では、抽象だけに意識を向ければいいのかというとそんなことはありません。

「具体と抽象」は両方ともその定義をしっかり理解して使用することが大切なのです。

本書では、「具体と抽象」を一言で表現するなら「空気」の様なものだと、本書で次の通り説明しています。

「空気」というのは、それがなければ1mmたりとも私達の生活が成り立たなくなる、生きていけなくなるものでありながら、普段はあまり意識することがないものです。

そのくらいに具体と抽象という物の見方や考え方は私達に密接に関わっています。

空気が主に私達の体になくてはならないものだとすれば、具体と抽象は私達の頭脳、とりわけ考えることにとってなくてはならないものなのです。

著者は「具体と抽象」を「普段は意識していないが、私達に密接に関わるもの」として「空気」だと比喩しています。

「私達の生活に密接に関わるもの」という言葉通り、日常の会話でも具体と抽象を使う場面は私達が意識していないだけでたくさんあります。

裏を返せば、具体と抽象を使わないことは考えが成り立たない上に、人とのコミュニケーションで問題を起こしてしまう要因になってしまいます。

例えば、「言った」「言わない」の論争がなぜ起きるのかというのは、具体と抽象を意識してコミュニケーションを行わないから起こることです。

本書にも一例としてこの話を例に挙げられていますが、例えばこんな場面に出くわしたことはないでしょうか。

「言った」「言わない」論争が起こるのは具体と抽象を行う力が不足しているから

友達の家に夕方遊びに行った場面での、こんな会話を想定してみてください。

友達「ああ、もうお腹減って死にそう。ちょっと今手が離せないからコンビニでおにぎりでも買ってきてくれる?」

あなた「わかった。コンビニのおにぎりね。」

そこであなたは近所のコンビニに急いで行って食べ物の棚を見てみましたが、あいにく売り切れでおにぎりはありませんでした。

あなた「ごめん。全部売り切れてた。」

友達「それは残念。何か他にあった?」

あなた「え?だって、おにぎり買ってきてって言ったよね?」

友達「お腹ぺこぺこなんだから何でもいいから買ってきてくれてもいいじゃない。」

これに近いことが誰かに買い物を頼んだり頼まれたりした場面で、皆さんも経験があるのではないでしょうか。

一体ここで何のコミュニケーション上の問題が起こったのか、この構造を知っていると日常生活だけではなく社会人になってからもコミュニケーションをうまくこなして、周りの人から「気が利く人」と言われるようになります。

初めの友達の言葉を具体と抽象の観点で解釈すると、どのようになるでしょうか。

「コンビニのおにぎり」というのは、あくまでも具体的な食べ物の例であって、本当に言いたかったのは「お腹が減ったから何か食べたい」ということです。

つまり、この友達の目的は「空腹を満たす」ことで、そのための具体的な手段のひとつとして「例えばおにぎりを食べること」という前提で「コンビニでおにぎりを買ってきて」と言ったわけです。

(中略)

もし、おにぎりが無かったら、友達の目的を考えれば「何でもよいから食べ物を買っていく」ことが必要なことは明らかでしょう。

この様に、私達のコミュニケーションは具体と抽象の2つのレベルで起こっています。

ところが、受け手の方に抽象レベルのメッセージを受け取る準備が出来ていないと、「たまたま一つの例」として出した具体例のみ理解した行動になってしまうのです。

日々コミュニケーションで具体と抽象、両方のレベルを意識しておくことの重要性わかって貰えたのではないかと思います。

(『13歳から鍛える具体と抽象』より引用)

例として挙げられた「コンビニでおにぎりを買ってきて」の様な場面で、コミュニケーションに齟齬が起きたことは多くの人が経験したことがあり、共感出来るでしょう。

私自身も伝えた側の友達と受け手側のあなたの両方の立場を経験したことがあります。

具体と抽象の2つのレベルに関して本書では、「言葉には個々の事柄や行動イコール具体と、それが大きく意味するところイコール抽象という2つのレベルがあることになり、この様な言葉の性質が「いった」「いわない」というコミュニケーションの行き違いを生み出す原因になっているのです」と解説しています。

伝える側は受け手側のことを考えないで話すし、受け手側は伝える側のことを考えないで話を聞いています。

互いが互いの立場に立って考えて話さないことが、コミュニケーションで齟齬が起きる原因です。

それを防ぐためには、具体と抽象の両方を意識することが大切なのです。

具体と抽象の両方を意識することは日常生活でも簡単に出来ます。

自分が何かを伝える側なら、受け手側のことを考えてみる。

自分が誰かの話を聞く受け手側なら、伝える側のことを考えてみる。

相手の立場になって考えて話すことを日頃から意識するだけでも、具体と抽象を行う力は成長していきます。

成長すればするほど、自分の思いや考えを言葉にして相手にわかりやすく伝えられます。

具体と抽象をより深く理解して、あなたの言葉にする感性を磨くきっかけとして本書をぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

本記事を最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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