あなたの心の中にいる天使と悪魔の葛藤に意識を向けることで、コミュニケーション能力が高まります『精神科医がやっている聞き方・話し方』

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映画のエンドロールと会話の関連性

あなたは映画のエンドロールを最後まで見る派ですか?

私は見る派です。

その理由は映画のストーリーが終わった後の余韻を感じていたいからです。

エンドロールにはストーリーのその後の様子が描かれていたり、ただ真っ黒な画面に製作者一同の名前が記載されているだけなど多種多様でそこも面白いと感じています。

その中でも私が特に好きなエンドロールが、制作の裏側を流しているメイキングを背景にしたエンドロールです。

どの様にして作品が作成されていったのか、その裏側を知ると作品に対してより愛が深まります。

映像では一瞬しか流れないのに、そのワンシーンを撮影する為だけに大掛かりな準備をして演者もスタッフも協力している姿は心が打たれます。

撮影期間は長期間に設定されており、長い時間をかけて丁寧に作品が作り上げられるためには入念な準備が必要不可欠です。

ですが、準備が必要なのはどの分野にも言えることでしょう。

しかし、準備を怠りがちな分野があります。

それは会話です。

「普段から日常生活で人と話しているから、会話に準備なんていらないだろう」と思われやすく、多くの人が準備不足が原因で会話で困っています。

ちゃんとした準備が出来ていれば、会話が苦手なことを意味するネット用語の「コミュ障」なんて言葉は生まれないはずです。

では、その準備はどうやってすればいいのでしょうか。

今回ご紹介する『精神科医がやっている聞き方・話し方』は日常生活からビジネスまで幅広く応用が効く会話の準備と意識を向けるポイントについて、わかりやすく教えてくれる本です。

いつも本サイトを訪れて記事を読んでいただき、ありがとうございます。

こちらの書籍はAudibleでもご利用頂けます。

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下のリンクから該当ページに移動しますので、Audibleに興味を持たれた方はこの機会にぜひご利用してみてください。

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会話がうまくいかないのは準備不足が原因

著者の益田裕介さんは早稲田メンタルクリニックで医院長をしています。

普段は外来をやりながら、診療後に動画を撮影し、YouTubeで配信しています。

この本は精神医学をベースに、ビジネスでも使える会話のテクニックをまとめた本です。

精神科の臨床は様々な人と心を通わせることに本質があります。

精神科医は、自分の家族とさえコミュニケーションが取れないという人達とコミュニケーションを取らなければならないのですが、その時にプロとしての技術を使っています。

本書ではこの技術を公開しました。

本書で紹介する技術、会話術は、ビジネスや日常会話でも役立つはずです。

というのも、特にビジネスの現場では高いコミュニケーションスキルが求められており、これらの技術は多くの人があまり意識していないため、意識的に使うことで他の人よりも優位に立てるからです。

これは野球のピッチャーが球種が増えることで、ストレートが生きるようになるのにも似ています。

選択肢が増えることで、視野が広がり、今まで見えてこなかった手法も使いこなせるようにもなるでしょう。

本書の「はじめに」の章から文章を引用して、本書にはどんな内容が書かれているのかを簡潔に紹介しました。

「精神科医としての会話術を身に付けると、仕事も人生もうまくいく」と日常生活全般で効果があることを述べていますが、そのロジックを説明すると次の通り説明されています。

  1. 人間は社会的動物なので、会話力が高いことは優位である。
  2. 会話力は才能ではなく、技術である。
  3. 精神科医も患者さんと会話をする際に、技術を使っている。
  4. 精神科医の会話術を身に付ければ、周りから信頼され仕事や人生の様々な局面で物事を優位に進められる。

人とのコミュニケーションは会話がなければ成り立ちません。

一番最初に「会話力」というキーワードが入っていることからも、著者が会話を重要視しているのがうかがえます。

「会話力は才能ではなく、技術である」と説明していますが、より詳しい内容を次の通り解説しています。

多くの人は会話が上手な人に対して、「自分とは生まれ持った才能が違う」と考えています。

しかし、それは大きな誤りです。

例えば、プロの芸人さんはたくさんの準備をしてからステージに立っています。

また、成績が優秀な営業パーソンもセールストークの効果を高めるために長い時間をトレーニングに費やしています。

上手に話せる人は決して生まれ持った才能だけで話しているわけではありません。

むしろ、元々は話が下手だったという人も多いです。

常日頃から上手に話すためのトレーニングを積んでいるのです。

つまり、トレーニングを積むことで誰もが会話のスキルを高めることが出来るのです。

とはいえ、会話は技術だと教育されたことがある人は少ないと思います。

会話とは自然に行うものだし、本心を語るべきだと考えている人が大半でしょう。

技術を使って会話をすれば不自然になり、かえって相手の信頼を損なうものと不安になる人も少なくはないでしょう。

しかし、自然体で話すためには、やっぱり準備や練習が必要です。

例えば、野球選手が力みなくバットを振るためには膨大な数の素振りが必要です。

不自然に見えるのは、まだまだ練習不足、理解不足で技術が身に付いていない証拠であり、技術を習得しているとは言えません。

人間には、本心を隠す力もあればそれを見抜く力もあります。

僕が言う会話の技術とは、自分自身を偽ったり必要以上に大きく見せるような演技の技術を指すわけではありません。

精神科の臨床、治療は年単位に及ぶことも珍しくなく、患者さんには素の自分をいつか見破られます。

本来の自分を出しながら、しかし精神科医として振る舞うための技術があるのです。

プロとしての立ち振る舞いを維持しつつ、しかし自分の内面から出る人間的な優しさなどを誤解なく伝える技術です。

精神科医が目指す技術とは自然体にさえ見える頂にあります。

自然体で話す大切さを実感する場面と言えば、大勢の人前で話す時でしょう。

「少人数なら話せるのに、大勢だと緊張してうまく話せない」という経験をされたことがあるかと思います。

それも原因は準備不足です。

野球選手が素振りを行って練習しているように、大勢の前で話す人も何かしらの練習を必ず行っています。

回数を重ねていくと体に染みついて回数を重ねたという自信も付いて、自然体で話せるようになっているのです。

それが会話という大きなくくりに分類されると「いつもしている事だから」と軽んじて準備をしないまま、ぶっつけ本番で挑もうとします。

それがいつまで経っても会話がうまくならない理由です。

準備が必要なのは会話も同じです。

普段の会話も見直して、準備をすれば良くなっている場面はたくさんあります。

著者も会話は準備が大切であることを他の章でも取り上げて、その重要性をより詳しく掘り下げています。

その詳細に関して、以下の通り解説しています。

精神科医が患者さんと会う際は、前もって様々な準備をします。

診療というものは演劇に似ています。

というのも、不安な患者さんの心を対話というストーリーを通じて安心という結末に辿り着けないといけないからです。

あるいは、一話完結の連続ドラマにも似ていて、一回ごとの診察の中でも不安から安心という小さなカタルシスがあり、同時に発見や理解があり、それが繋がることで大きな回復や治癒に導かれます。

つまり、演劇やドラマに準備が必要なのと同様に、精神科の治療にも準備が必要なのです。

これは皆さんの普段の会話においても一緒です。

そこに目的があるなら、例えばうまく会話を成立させたい相手に好印象を与えたいのであれば、何も準備をせずに望むよりもしっかりと準備をしてから臨んだ方が良い結果が出るのは明らかです。

あなたは会話をするとき、事前にしっかり準備をしているでしょうか。

友人同士の「昨日は何してた?」、「最近の調子はどう?」といった日常的な会話であれば、もちろん準備は必要ありません。

しかし、あなたにとってその会話を通じて、「こんな目的、ゴールに辿り着きたい」という意図があるならば準備は必須です。

準備をしないと、会話はいつの間にかあなたの予期せぬ方向へ向かってしまうからです。

「こんな目的、ゴールに辿り着きたい」という意図が生まれた瞬間に会話がぎこちなくなってしまう人がいます。

例えば、あなたが男性だとして目の前に美人な女性がいます。

「目の前の美人な女性と仲良くなりたい」という意図が生まれた時、意図を意識しすぎて普段している日常的な会話すらおぼつかない状態になってしまいます。

当然、話しているあなたもその不自然さに気が付くでしょう。

そしてこういった時に頭の中で何を考えているかというと、「自分って、普段の日常会話をどんな風に話していたかな」ということを考えています。

これも準備不足です。

そもそも、普段の意図のない日常会話をしっかり覚えようとしながら会話をしている人はいません。

意図がなくても、人とコミュニケーションは取れます。

しかし、上記の通り意図が生まれた瞬間に人は普段している会話すら出来なくなり、普段から無意識で行っている会話の仕方と内容を思い出そうとするわけです。

実際に意図が必要な場面で思い出そうとしても遅いのです。

なので、準備の段階から自分の普段の会話を意識する必要があります。

その会話でどんな風に話しているのかを確認することは、あなたの性格や特徴を把握することにも繋がります。

自身の性格や特徴を把握することは、会話に於いて重要な要素でもあります。

無意識のまま会話を行なってはいけない理由

あなたは自分の性格や特徴を意識しながら会話をしていますか?

多くの人は自分の事をほとんど意識していないものです。

しかし、それでは会話はうまくいきません。

自分の性格や特徴を気に留めずに会話をしてしまうと、うっかり悪いあなたが顔を出すことになるからです。

悪いあなたは会話の中で思わず自慢をしてしまったり、怒りだしてしまったりして相手を不快にさせてしまうかもしれません。

こうなってしまっては、せっかく会話のゴール、目的を定めてもそこまで到達することは難しくなります。

場合によっては、会話は頓挫するかもしれません。

それだけに会話の前段階で自分の性格や特徴をしっかりと掴んでおくことが大切なのです。

私達は普段、自分の心の動きに従って生きています。

しかしながら人間には、自分では把握しきれない部分もたくさんあります。

話に夢中になり過ぎてつい自慢してしまった、相手のちょっとした一言につい怒ってしまったことは誰でも一度や二度は経験したことがあるはずです。

これは無意識に起こしている行動です。

人というものは意識だけではなく、無意識にも囚われて生きているのです。

(『精神科医がやっている聞き方・話し方』より引用)

何気なく言ってしまった一言が雰囲気を悪くしてしまったり、相手を傷付けてしまった経験は誰にでもあるものです。

もちろん、私にだってあります。

そのことに気付いて反省したら、もうそれ以上自分の事を責める必要はありません。

大切なのは、「どうしてその一言を言ってしまったのか、それまでの経緯を辿れること」です。

例えば、場が盛り上がるかと思って言った一言がただ単に相手を傷付けるだけで、むしろ場の雰囲気を悪くしてしまった。

「場を盛り上げようとする」という思いが悪い方向に進んでしまったけれども、自分にはそういった思いがあるんだなと認識することが出来ます。

正しい方向に向かえば場は盛り上がりますし、自分自身の性格や特徴を無意識で行っている会話の中から見つけ出すことが出来ます。

「無意識にも囚われている」と本書で説明されていますが、この無意識にも複数の種類があって、それらが複雑に絡まりあっています。

その詳しい説明を本書で次の通り述べています。

ここで人の心の仕組みを少し紹介します。

人間の精神構造は「自我・超自我・リビドー」の組み合わせで成り立っているという考えがあります。

超自我とは良心の教えや社会のルール、文化、言語などの影響を受けて自分の心に内在させられたものを言います。

こうあらねばならない、こうした方がいいと自分を導いてくれるような見えない教えの様なものを指します。

例えば、良心は正に超自我です。

一方、悪い方向に作用する超自我もあります。

自分を厳しく律するがあまり、体を壊してしまう、うつになってしまうといったケースです。

リビドーとは、人の本能的衝動のことです。

ついつい本能に負けてしまい食べ過ぎてしまうとか、お金を使い過ぎてしまうとか、モテたいがために見栄を張ってしまうとかのことです。

皆さんも心当たりがあるのではないでしょうか。

そして、超自我やリビドーを調整するのが自我です。

しかしながら、超自我やリビドーのパワーが自我のパワーに勝るケースも起こります。

それが良心であればプラスに作用しますが、マイナスに作用するケースも多々起こります。

それは過労によるうつなどです。

僕達の普段の会話にも超自我やリビドーが顔をのぞかせることがよくあります。

仮にあなたが男性で相手が美しい女性という場合、会話のゴールを忘れて女性に優位になるように会話を進めてしまうかもしれません。

これはリビドーが自我を超えた状態です。

自分の意識や自我を超えた行動や言動が、会話に与える影響は大きいのです。

漫画やアニメでよく使われる手法ですが、ある登場人物が葛藤している場面で心の中にその登場人物を模した天使と悪魔が出現します。

天使は良い方向に進んで葛藤を止めようとしますが、悪魔は悪い方向に進ませて葛藤を止めようとします。

そして登場人物は板挟みになってしまい、さらに葛藤してしまうといったシチュエーションを漫画やアニメでご覧になった方もいるのではないでしょうか。

登場人物は自我、天使は超自我、悪魔はリビドーとして考えればわかりやすいかと思います。

天使の言うことだけに常に耳を傾ければいいかというと、そういうことはありません。

上記の通り、自分を律し続けることは悪い方向に傾いてしまう危険性があるからです。

なので、大切なのは中立を保ち続けること。

天使と悪魔の存在を意識して、それらが暴走しないように手綱を握り続ける調整役の自我の存在を強くすることが必要です。

「普段の会話にも超自我やリビドーが顔をのぞかせることがある」と説明されている通り、何気ない普段の日常でも葛藤が起こる場面で付いて回ります。

そんな時に超自我やリビドーを抑え込む方法として、「自分にはこうした傾向があると認識して、会話の場面で出てきそうになったとき、特にそれがマイナスに作用しそうになったときは意識して止める」ということを本書では紹介しています。

つまり、調整役の自我が最優先されれば会話で問題が起こるのを未然に防いでくれます。

心の中で葛藤が起こっている時、天使と悪魔にしか人は意識が向きません。

しかし、どちらの意見を聞くにしろ、最終的に決定するのは自我を持つあなた自身です。

天使と悪魔の葛藤と聞くと両者の存在だけに意識が向きがちですが、最終的に決定するあなたという存在を忘れてはいけません。

あなたという存在を意識すればするほど自我が優先されて、「天使と悪魔の両方の意見を聞かない」という第三の選択肢を取ることも出来ます。

それが会話が正しい目的に向かうための指標にもなります。

会話には準備が必要なこと、無意識に目を向けることの重要性を中心に本書を紹介してきました。

あなたが会話で入念な準備が行えること、そしてあなたの普段の会話から性格や特徴をしっかり掴めるように、本書を是非読んでみてはいかがでしょうか。

本文でも軽く触れましたが、著者が診療後に動画を撮影し、配信しているYouTubeチャンネルを下のリンクに記載いたしましたので、ここまで本記事を読んで興味を持たれた方は下のリンクから移動して、動画の視聴とチャンネル登録もよろしくお願いします。

精神科医がこころの病気を解説するCh – YouTube

本記事を最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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