自尊心を正しく理解すると、メンタルが傷つくことがなります『うまくいっている人の考え方 完全版』

心理的な抑圧を緩和する
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ほとんど意味は同じなのに印象が変わる言葉

「プライドが高い人」と聞くとあなたはどんな人を思い浮かべますか?

高圧的で周りの人を見下していそうな近寄りがたい人を思い浮かべたのではないでしょうか。

では、「自己肯定感が高い人」と聞くとあなたはどんな人を思い浮かべますか?

いつも笑顔で明るいような人を思い浮かべたのではないでしょうか。

実は、「プライドが高い人」も「自己肯定感が高い人」も意味合いはほぼ同じです。

「プライド」を日本語に訳すると「自尊心」であり、「自尊心が高い人」となります。

「自尊心」も「自己肯定感」も、自分で自分の事を認めて受け入れている状態を指すのですが、言葉が変わるだけで意味は変わらないのに、印象が変わってしまうような気がするのは不思議ですよね。

ところで、あなたは「自尊心」という言葉をちゃんと理解しているでしょうか。

「自己肯定感」はよく見聞きするので何となくわかるような気はしますが、「自尊心」は意味は知っているけどあまりよくわからないという方は多いと思います。

ですが、「自尊心」を正しく理解することは生きることに大いに役立ってくれます。

今回ご紹介する『うまくいっている人の考え方 完全版』は、知っているようであまりよく知らない自尊心に関してわかりやすく解説し、そして自尊心がどの様にして人生に役立ってくれるのかを教えてくれる本です。

いつも本サイトを訪れて記事を読んでいただき、ありがとうございます。

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自尊心とは何か

著者のジェリー・ミンチントンさんは心理学に造詣が深いアメリカの著述家です。

著者は自尊心は人生の質を大きく左右すると強調しており、本書の冒頭からその重要性を以下の通り説明しています。

本書の中心にあるテーマは自尊心をどう高めるかということである。

自尊心とは何か。

簡単に言うと、それは自分を好きになり、他人と同じように自分も素晴らしい人生を想像するに値する人間だと、信じる気持ちのことである。

自尊心は大切だろうか。

答えはイエス。

なぜなら、自尊心は人生のほとんど全ての局面に大きな影響を与えるからだ。

例えば、人間関係、自信の度合い、職業の選択、幸福、心の平和、成功。

これらは全て自尊心と密接な関係がある。

なぜ、人は自尊心の欠如に苦しむのだろうか。

誰しも成長の過程で、自分に対して悪感情を抱きたくなるような不快な経験をする。

そして、その経験があまりにも多いと、心の中に次の三つの信念が出来上がる。

(1)私は自分の人生を切り開くことが出来ない弱虫だ。

(2)私は不完全な人間だ。みんなより劣っている。

(3)私は生まれつき欠点だらけの人間なんだ。

自尊心を取り戻すのはそんなに難しいことではない。

要は、自分に対する考え方を修正すればいいだけである。

そのためには、自分の人生は自分で想像出来ると確信し、生まれつき持っている自分の価値に目を向けることだ。

そうすれば、右の三つの間違った思い込みは簡単に取り去ることが出来る。

自尊心を高めるために少し時間を割こう。

その見返りとして、あなたは自信を身に付け、素晴らしい人間関係を築き、楽天的な人間になれることだろう。

しかし、一番大きな見返りは新しいセルフイメージ、自分自身に抱いているイメージである。

なぜならその時あなたは人間的に大きく成長し、はるかに幸せな自分に変身しているからだ。

本書では、自尊心を高める方法を100個紹介しています。

紹介されている100個の方法の中で著者が最も大切だと思っている考え方が、22番目に紹介されている「自分を他人と比較しない」ことだとあとがきで述べています。

著者はその理由を、「自分の個性は自分の中にあるのだから、自分を他人と比べても意味がない」と説明されています。

理由に関するより詳しい説明を、本書で以下の通り見解を示しています。

自分を他人と比較するのは止めよう。

自分を他人と比較する習慣は一方で不満を生み、他方で間違った優越感を生むだけだ。

そして、そのどちらも現実のセルフイメージを妨げる要因になる。

自分と他人を比較するとき、心の中で相手と自分との優劣を判断しているのが典型的なパターンである。

だから、自分より優れている人を見ると落ち込み、自分より劣っている人を見ると元気が出て来るという結果になる。

しかし残念ながら総合すると、自分はダメだという気持ちの方が優勢になる。

それならわざわざ自分を他人と比較したりせずに、初めから落ち込んでいた方が余計な手間がかからない分だけマシというものだ。

自分を他人と比較するのは、どんな場合も好ましくない。

なぜなら、あなたはこの地球上に住む他の全ての人と同様、独自の長所、短所、才能、能力を持つ個性的な存在だからだ。

環境や人生経験、物の見方、考え方が組み合わさって、あなたは他の誰とも違うユニークな存在になっている。

これは良い悪いの問題ではなく、事実である。

記事の冒頭で「プライドが高い人」のイメージとして、高圧的で周りの人を見下していそうな近寄りがたい人のことを例に挙げました。

「プライドが高い人」は自分と他人を比較して見下しているという先入観によるイメージが強いですが、本書がテーマとしている「自尊心」は自分と他人との比較を行いません。

本書がテーマとしている「自尊心」とは、自分自身が持っているものに意識を向けて、自分自身に対するセルフイメージを高めることを目指しています。

私達がイメージしやすい「プライドが高い人」は高圧的で人を見下している印象ですが、そんなことを続けていても結局は自分はダメだという気持ちの方が優勢になってしまいます。

これでは自らのセルフイメージを下げているので、本書が目指している「自尊心」とは真逆の方向に進んでいます。

さらに言えば、自分と他人を比較して相手のことを見下しているのは、自分で自分の事を傷付け続けている行為を繰り返しているわけです。

私達の生活は人との関わりは切っても切れないほど深く繋がっています。

社会生活を送る上で必要な関わりのある人達だけではなく通りすがりの人すら比較の対象となるのですから、人が視界に入る度に比較して一喜一憂しているのは、プライドが高い人の自尊心は本当の意味では守られていません。

むしろ、自傷行為を毎秒繰り返しているようなものです。

しかも、当の本人はそれに気付いていません。

しかし、自分自身を知らず知らずのうちに苦しめていることは、プライドが高い人だけではなく私達も同じようなことをしている可能性があります。

本書で紹介している100個の自尊心を高める方法から、24番目に紹介されている方法にもこの件に関して触れられており、次の内容が記載されています。

24番目に紹介されている自尊心を高める方法

少年がハンマーで、何度も自分の親指を叩いていた。

その様子を目撃した人が不思議に思い、「どうしてそんな痛いことをしているのかね?」と尋ねた。

すると、少年はこう答えた。

「叩くのを止めた時に気分が良くなるからさ」

これは他愛もないジョークの様だが、ひとつの重大な真実を言い当てている。

それはこの少年がハンマーによって自分に苦痛を与えていたように、私達も自分の感情によって自分に苦痛を与えているということである。

私達は感情の反応が自動的だと思っているようだ。

つまり、何かが起これば、それが私達に自動的に反応を起こさせるという風に考えているのである。

しかし、実際にはそういう仕組みにはなっていない。

感情は内面の働きである。

何かが起こった時に「嫌だな」と思うのは自分であり、自分の感情によって自分を叩きのめしてしまうのである。

苦痛を伴うこのような感情を自分で作っていることを認めないから、外的な原因に責任を押し付けて自分が犠牲になったと感じるのだ。

しかし、それでは何も解決しない。

その反対に自分の心の状態は、自分に責任があると認めれば、人生を想像する素晴らしいパワーが得られる。

そのパワーを利用すれば、うまくいかない解決策を試すのを止められるだけでなく、もはや自分の気分を自分以外の物に左右される必要がないことがわかるはずだ。

(『うまくいっている人の考え方 完全版』より引用)

上記の24番目に自尊心を高める方法の表題は、「自分で自分を苦しめない」です。

自分が感じている感情とは自分自身が起こしているものであり、その反応は自動的に起こされるものではありません。

しかし、自分自身の感情によって自分を叩きのめしてしまうことに心当たりはありませんか。

一時の感情によって湧き出た「嫌だな」という思いによって、その後の自分自身の行動を決めてしまっているわけです。

言い換えると、「気分に振り回されている」という言葉がぴったり当てはまるでしょう。

例えば、嫌なことがあると引きずってしまう人がいます。

しかし、「嫌だな」という感情を湧き起こしたのもその人自身が選んでいることで、その「嫌だな」という感情を引き続けているのも、その人が自らの意思によって選んで行動されていることです。

本来は自らの意思で行動を選べることに気が付かずに、わざわざセルフイメージを下げる不快な方を選択しているわけです。

これではハンマーで自分の親指を叩き続けている少年と何も変わらないでしょう。

「上機嫌」や「不機嫌」といった言葉があるように、人の気分には波があります。

しかし、それらを発生させる要因を外的要因に頼り過ぎだと私は感じています。

いいことがあったから「上機嫌」になる。

嫌なことがあったから「不機嫌」になる。

これでは、本来自らの意思で変えられる気分の波を他人や出来事に委ねて過ぎていて、依存しています。

それにそんな状態では、苦痛を伴っている感情を自ら作っていることを認められないでしょう。

「上機嫌」になるのも「不機嫌」になるのも、本来は自らの意思と行動で自由に選べられます。

自分のお気に入りの音楽を聴いたり、スマートフォンに保存されている好きな写真を見るといった行動で気分が上がり、意識的に行動を起こすことで「上機嫌」になれます。

「嫌だな」と思ってしまうような出来事に遭遇しても、その場からすぐに立ち去ったり、不快な感情と同化しないようにする行動を取ることで「不機嫌」になるのは防ぐことが出来ます。

最初はなかなか上機嫌になれなかったり、不機嫌を防ぐことが出来なくて効果を実感出来ないかもしれませんが、その行動が出来た自分を思いっきり心の中で褒めてみてください。

大切なのは、感情を生み出すきっかけを自らの意思と行動によって作ったという感覚です。

その積み重ねが自分の気分を外的要因に左右されずに、コントロールが出来るようになります。

気分のコントロール権を自覚させてくれる感性が「自尊心」の特徴の一つではないかと、24番目の自尊心を高める方法を読んで私はそう思いました。

今回紹介したのは2つですが、本書にはまだ98個の自尊心を高める方法があります。

残りの98個の自尊心を高める方法からあなたの自尊心を高めてくれるような方法に出会うために、本書をぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

本記事を最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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