「一生ポジティブで居続けられる人などこの世にいません」『弱いメンタルに劇的に効くアスリートの言葉 スポーツメンタルコーチが教える”逆境”の乗り越え方』

心理的な抑圧を緩和する
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オリンピックに出場されている選手のメンタル

2024年7月26日にパリオリンピックの開会式が行われました。

連日熱い戦いが生中継されているので、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。

参加されている選手の方々の緊張感が画面越しでもしっかりと感じ取れるほど現地の気迫が伝わっており、観戦しているこちら側も手に汗握るほど熱中して見てしまいます。

オリンピックは選手にとって今後の人生を左右するとても大切な大会であり、そのプレッシャーは計り知れないほど重くのしかかっているはずです。

そんな状態でもベストを尽くして最高のパフォーマンスを発揮する。

そういった姿勢に人は心を打たれ、感銘を覚えるのだと思います。

ならば、オリンピックに出場している選手は全員メンタルが強いのでしょうか。

そんなことはありません。

選手も私たちと同じ人間であり、精神構造が全く違う生き物ではないのです。

私たちと同じように悩んだり、プレッシャーに重荷を感じたりしています。

そんな選手の精神面を支えることを専属にして働いている方々がいます。

その職業はスポーツメンタルコーチです。

スポーツメンタルコーチとはその名の通り、選手が目指す目標へ導く為にメンタル面からパフォーマンスを支えられる人のことを指します。

そのスポーツメンタルコーチが現場で培った経験とアスリートの言葉を中心にメンタルに対する向き合い方をわかりやすく解説しているのが、今回ご紹介する『弱いメンタルに劇的に効くアスリートの言葉 スポーツメンタルコーチが教える”逆境”の乗り越え方』です。

いつも本サイトを訪れて記事を読んでいただき、ありがとうございます。

こちらの書籍はAudibleでもご利用頂けます。

現在、Audibleを新規登録される方は30日間無料で体験することが出来て、今回ご紹介した書籍も無料体験中に聴くことが出来ます。

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スポーツメンタルコーチから見たアスリートのメンタル

著者の鈴木颯人さんは様々な競技の選手をメンタル面からサポートするスポーツメンタルコーチの仕事をしています。

アスリートから100%の能力を引き出し結果に繋げるため、科学的な勉強の他にも多くのトップアスリートの言動を独自に研究しており、実際にお会いしてインタビューをしたりなど、実際に生の声を聞く機会も持っています。

著者はスポーツメンタルコーチの活動を通して、アスリートのメンタルに関して第三者が抱きがちな誤解を次のように述べています。

一般的に皆さんはトップアスリートのポジティブな言葉に共感を覚えるのではないでしょうか。

しかし、多くのアスリートも時に弱音を吐いたり、ネガティブな表現をします。

実際にお会いしたトップアスリート達も他人に言えない悩みを抱えながら懸命に前に進んでいるからです。

彼らの前向きな側面にはスポットライトが当たるものの、その迷いや悩みは一般的にはあまり知られず、一流アスリート=ポジティブ、さらにポジティブ=成功というような構図で解釈されがちです。

また、こういった名言を扱う類の書籍では、主にポジティブな言葉を強調して紹介する傾向にあります。

しかし、本当に重要なのはどんなアスリートもメンタルが弱ったり、ネガティブになったりすることがあるということです。

一生ポジティブで居続けられる人などこの世にいません。

だからこそ、私は多くのアスリートの言葉に触れる中で、ポジティブな言葉を聞くよりもネガティブな状態から抜け出す術を学ぶことの方が大事だと思っています。

著者はアスリートの言動を調べていく中で、ポジティブに振る舞い続けることを疑うようになりました。

もちろん、時として自らを奮い立たせる言動は必要かもしれません。

しかし、それだけでは必ず頭打ちになる時期が来ます。

多くの方々が世の中に溢れるポジティブに生きようというメッセージに同意しながらも、なかなかそれを実践出来ずにいるのではないでしょうか。

そんな時に必要になるのが、弱い自分に向き合う覚悟。

弱気な自分、見たくない自分、嫌いな自分に向き合うのは難しいことです。

そこでアスリートの言葉を解説しながら読者のメンタルをサポートしつつ、自分と向き合うことを目的に執筆されたのが本書です。

著者はスポーツメンタルコーチの前に会社勤めをしていた経験があり、その際にうつ病と診断されひどくネガティブな状態を経験してきました。

その時に著者を支えてくれたのが、多くの人達の言葉です。

勇気付ける言葉があったからこそ、今の自分があると語っています。

本書を読んでいて気付かされたことがあります。

それはネガティブな感情や考えが生まれても否定をしないこと。

見方を変えて自分が受け止めやすい考え方に変えることで対処する術を、様々なアスリートの言葉の紹介を交えつつ記載されています。

ネガティブな感情や考えは一度意識してしまうと、必ずそれはついて回ります。

距離を離そうとしたり見ないようにしても無意味ならば、自分の中で受け止めやすいように見方を変えてネガティブを消化した方がいい。

ネガティブとはそんな向き合い方をするのが上手な付き合い方なのかもしれないと思いました。

本書ではアスリートの言葉を中心に多様な見方が紹介されていますが、特に印象深かったのが第2章の「くじけそうなときに効く言葉」の「挫折の乗り越え方」です。

リフレーミングで挫折を乗り越える

ここに水が半分入ったコップがあります。

あなたは水が半分「もある」と思いますか?

それとも、水が半分「しかない」と思いますか?

この質問は有名なのでどこかで聞いたことがある方もいると思います。

これは心理学の用語でリフレーミングと呼ばれています。

ある枠組み(フレーム)で捉えられている物事の枠組みを外して違う枠組みで見る考え方を指します。

この様に人の捉え方には常に錯覚が起きています。

そして自分自身がどのように捉えるかで物事の感じ方は変わってきます。

そうやって考えることが出来れば、この世の中にあるネガティブとかポジティブとか区分けされる出来事も全て成長の機会と解釈することも出来ます。

さらにここからが私が一番お伝えしたいことです。

そもそも、ネガティブな感情を悪いものだと決めつけたのは誰でしょうか。

多くの方がネガティブなものはダメなもの、不要なものだと思いがちです。

しかし、捉え方を変えることで、ネガティブな思いや出来事から何かしらの気付きを得られることがあるのです。

ネガティブな出来事を自分の成長に必要なものだと捉えれるようになれば、自分の気持ちをコントロールしやすくなります。

誰に教わったわけでもなく、自分自身が無意識にネガティブがダメなものだと思い込んでいた人が多いと思います。

だからこそ、「ケガはチャンス」と言い切れる本田さんはすごいのです。

くじけそうになった時、目の前の出来事をどう捉えるか、どう見るか、そしてどう自分の成長にどう繋げるかポイントはここにあるのです。

(『弱いメンタルに劇的に効くアスリートの言葉 スポーツメンタルコーチが教える”逆境”の乗り越え方』より引用)

本田さんとは、サッカー選手で有名な本田圭佑さんのことです。

「ケガはチャンス」という言葉は、中学の時にケガの後のきちんとしたリハビリによって、ケガの前よりもパフォーマンスが向上した本田さん自身の経験に基づいての発言です。

だからこそ、本田さんはロシアで半月板損傷という大怪我にも前向きに向き合えました。

不遇な出来事が起こった時に人はネガティブになります。

そんな時にその人の脳内で発せられる言葉が「なんで?」「どうして?」です。

原因を特定して次に同じようなことが起こらないように対策を立てるのは大切ですが、「なんで?」「どうして?」から思考がそこから先に動けない人がいます。

自分に起こった出来事を受け止めきれないから、そこから動けないのです。

ならば、見方を変えて受け止められるようにすればいい。

それがリフレーミングを使用する上で大切な心構えだと考えています。

とはいえ、気持ちの整理がついていない状態で無理に起こった出来事をポジティブに変換するのは難しいでしょう。

だから、最初はネガティブな気持ちを切り替えるために使用するものだという認識でいいと思います。

「なんで?」「どうして?」と自分を責める状態から脱する為にリフレーミングを使用して見方を変えて受け入れようとする。

これはネガティブから脱却するための大きな一歩です。

その一歩を踏み出せたなら、次は原因を特定する、対策を立てるとさらに次の一歩が踏み出しやすくなります。

その見方を変える枠組みを増やす方法として本書を読んでみて、あなたの琴線に触れるアスリートの言葉を見つけてみてはいかがでしょうか。

本記事を最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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