イヤな気持ちとその対処法に溢れている世界
人は誰しも日常生活を送るうえでイヤな気持ちになる場面に遭遇するものです。
そのような場面に向き合うたびに「またか」と疲弊してしまうほど遭遇率が高いので、生きるということは大変なことですよね。
このイヤな気持ちをどう対処すれば、前向きに日々を送り幸せに生きることが出来るのか。
書店に行けばイヤな気持ちを対処する方法が記載された書籍が山のように積み重ねられており、YouTubeで検索するといくらスクロールしても終わりが見えないほど関連動画で埋まっています。
それほど私たちにとって需要があるということなのですが、こんなにも選択肢が溢れていると一体どれを選べばいいのか正直困ってしまいますよね。
そこで、イヤな気持ちを対処する方法について今まで数多くの書籍と動画を拝見してきた私から、一冊の書籍をあなたが最初に拝見する候補として提案させてください。
その書籍のタイトルは『「イヤな気持ち」を消す技術』です。
時間軸の概念を変えると見える世界
人間には2種類のタイプがいます。
とても強烈なイヤな体験をして、それがトラウマになってしまう人と、わりとあっさりその体験を乗り越えてしまう人です。
誰もが後者のように生きたいと願い努力しているはずですが、にもかかわらずイヤな記憶に囚われる人が出てきてしまいます。
その違いは脳の使い方です。
本書では機能脳科学の専門家である著者の苫米地英人さんが、脳内でイヤな気持ちが生まれてしまう箇所や、その記憶がどのようにして定着するのかをわかりやすく解説しています。
そして脳に関する知識を踏まえて、起こった出来事をどのように解釈すればイヤな気持ちにならずにその記憶を定着させないかを様々な事例を挙げて紹介しています。
複数の事例の中から、私が特に印象深く感じたのは時間に対する解釈です。
時間というのは、未来から過去へと流れています。
時間は過去から未来へ向かって流れていくものと考えている人が多いのですが、実際はその逆です。
未来は時間がたつと現在になり、現在は時間がたつと過去になり、過去はさらに遠い過去になっていきます。
つまり、時間はいつも未来から流れてくるものなのです。
(『「イヤな気持ち」を消す技術』より引用)
英語の授業で過去形や未来形などの時制を学習する際に、必ず左から順番に過去、現在、未来の順番で並べられます。
左側にくる最初の時制が過去から始まり未来で終わるのは、どの言語の時制を学ぶ際にも使用されている万国共通の概念です。
時制を意識した際に最初に思い浮かぶのが過去であるからか、時間というのは過去から未来へと流れていくものだと私達は考えています。
過去の積み重ねが現在であり、現在の積み重ねが未来であるという考えが生まれ、そして時間の流れから因果を見つけようとします。
因果を見つけようとするとは、「過去にこんなイヤな出来事があったから、現在はこうなっているんだ」とか「現在に起こったイヤな出来事は、未来にもきっと同じことが起こるに違いない」など、自身の過去経験から未来に起こる出来事の法則性を見出そうとして関連付ける行為のことです。
ですが、この行為に本当に意味はあるのでしょうか。
過去に起こった失敗を繰り返さないための反省はもちろん必要だとは思いますが、そこから因果を見つけるためにいつまでも過去に留まり続けるのは時間を無駄にしているだけです。
そもそも未来のことなど誰にもわかりません。
未来がわからないのは、その先に無数の分岐点があるからです。
因果という色眼鏡を掛けて未来を見る行為は、自らの視野を狭めて分岐点を見落す行為です。
そしてその行為を無意識の内にしてしまい、狭まった分岐点から間違った道を選んで進んだ先で、自分自身を苦しめている方がとても多いように見受けられます。
自らの意志で前に進む道を自由に選択出来る権利は皆平等に持っているのですから、なるべく多くの分岐点を見出して自分にとって有利な道を選択するべきです。
未来を見た時に分岐点の解像度を上げられる第一歩として、本書を是非読んでみてはいかがでしょうか。
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