言葉にすることの難しさ
初めましての方もいつも記事を読んでくださる方も、本サイトを訪れていただき誠にありがとうございます。
今回の記事と密接に関わる内容ですので、改めてこのサイトに関して簡潔にご紹介させてください。
心点観測所は思考と感情を言語化する手助けとなるような概念を提供し、読者であるあなたが今抱えている悩みの解決の糸口を見出すことがこのサイトの目的です。
今まで掲載してきた記事では様々な書籍を紹介してきましたが、その中に読者の皆様の悩みの解決の糸口を見出してくれるような書籍は見つかりましたか?
見つかっていれば、もしくは記事を読んで少しでも心が軽くなっていれば幸いです。
上記した通り、このサイトは「言語化」がメインテーマです。
ですが、以前の私は自分が考えていることを言葉にして相手に伝えることがとても苦手でした。
起きた出来事を頭の中で綺麗にまとめることが出来なくて、相手に自分が伝えたいことが伝えられないことにもどかしさを感じていました。
そのことを痛感したのは心療内科を初めて受診した時です。
最初の会社に入社した際に上司からパワハラと嫌がらせに会い、慢性的な頭痛と不眠に悩まされてかなり疲弊していました。
そこで心療内科を受診したのですが、心療内科医の先生に実際に体に表れている症状とそうなってしまった背景を話そうとしても、いざ相手に伝えようとするととても怖かったことをよく覚えています。
相手に自分が抱えている苦しさや辛いといった感情を言語化して伝えるのはとても勇気がいることです。
まず、悩みを言語化するにはその苦しさや辛い感情の根本となった出来事に向き合わなければなりません。
それがとても苦しいのです。
出来事を言葉にしようとするたびに、当時の記憶だけではなく感情まで一緒に思い出してしまうからです。
その様な理由から、初めて心療内科を受診した私は「辛いです、苦しいです」としか言えない状態でした。
その後通院を続けて言葉にして伝えようと試みては失敗することを繰り返し、少しずつ言語化が出来るようになり、相手に伝えることにも慣れていきました。
そんな当時の私のように思い悩んでいることを言語化するのが苦手な方にお勧めしたい本があります。
その本のタイトルは『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』です。
いつも本サイトを訪れて記事を読んでいただき、ありがとうございます。
こちらの書籍はAudibleでもご利用頂けます。
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Audibleの公式サイトはこちらからどうぞなぜ言葉にすれば「悩み」は消えるのか
本書の著者の樺沢紫苑(かばさわしおん)さんは精神科医として働く傍ら、YouTubeも運営しています。
YouTubeチャンネルの『精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル』の2024年6月4日現在のチャンネル登録者数は52.6万人、投稿されている動画は7225本もあります。
著者は情報発信を通してメンタル疾患を予防することを目的としています。
YouTubeチャンネルの開設もその一環であり、動画を通して視聴者からのお悩み相談に答えています。
著者のYouTubeチャンネルには多数のお悩みが寄せられますが、毎日多くの人から同じ悩みが送られてきます。
毎日30件以上、一ケ月で1000件以上の質問が届きますがその95%以上が同じ内容です。
毎月1000件以上の悩みと向き合い、著者はこう思います。
「人間の悩みというのはたくさんあるわけではない、ほとんどの人が同じようなことで悩んでいる」
動画にしても三日と経たずに全く同じ質問が寄せられます。
答えても答えても悩みが減ることはありません。
そこで人間の悩みをシンプルに分析出来ればいいのではないかと考えました。
似たような質問が毎日送られてくるので、パターン別に分析出来れば本書一冊で全ての悩みに対応出来るはず。
そう考えた著者は本書で悩みをパターン別に分けて紹介しています。
悩みの定義から始まり、悩みを分析する軸となる考え方から解消する方法まで、悩みをパターン化して網羅的に解説を行っています。
その中で私が特に印象に残ったのが、本書のタイトルにも採用されている第6章の『言葉にすれば悩みは消える』です。
心の中のモヤモヤを言葉に出来ると心がスッキリします。
逆に誰にも言えない、誰にも相談出来ないなど人に話せないことは大きなストレスとなります。
話せない、話さないを自分の心の中だけに留めるとそれはものすごいストレスになるのです。
逆を言えば、思っていることを誰かに話す。
言葉にするだけでストレスは抜けていくのです。
心理カウンセリングの領域ではこの言語化という言葉がよく使われます。
幼少期のトラウマ、心的外傷となる出来事を自分で言葉にして説明出来るようになるとその瞬間にトラウマは解消されるといいます。
心理的な抑圧が強いと辛い体験を言葉にすることは出来ません。
逆に言葉に出来たということはそのしがらみから抜け出たということを意味します。
心理カウンセリングの一つの目標が言語化です。
言葉にするだけで無意識が意識に変わるのです。
思考の95%は無意識で処理されると言います。
その無意識化にあるネガティブな思考や感情を自分で改善、解消したくても、意識出来ないままではどうすることも出来ません。
言語化とは海の底深くに沈んでいる沈没船を引き上げる作業のようなもの。
海面まで引き上げれば、つまり意識出来るところに置けば詳細に調査することが可能です。
言語化によって漠然とした捉えどころのないものが、客観的、具体的に捉えられる。
取り扱い可能になるのです。
何が苦しいかわからないと言っていた患者さんが「人前に出た時に特に苦しくなる」と言語化出来たならそれは飛躍的な進歩と言えます。
人前に出なければ苦しくならないという対処法に自分で気づくことが出来るのです。
あるいは人前に出た時の緊張に少しずつ慣れていこうと思うでしょう。
言語化によって、漠然とした悩みを自己分析することが出来ます。
そこから自分で解決法を見出す人も多いのです。
本書の『言葉にすれば悩みは消える』の章から文章を一部引用して、なぜ言葉にすれば悩みが消えるのかを説明しました。
冒頭の文章で私が初めて心療内科を受診した際に「辛いです、苦しいです」としか心療内科の先生に話せなかったことを書きました。
当時の私が症状とその背景を言語化出来なかったのは、もともと言語化することが苦手だからと考えていましたが心理的な抑圧が大きかったのも原因だったのだと、この章を読んで改めて実感しました。
当人にとって辛い体験であればあるほど心理的な抑圧も強くなり、言語化するのが難しくなります。
では、どうすれば心理的な抑圧を緩和することが出来るのでしょうか。
悩みを言語化することに挑戦した私の体験談
悩みを言語化する方法としてよく挙げられるのは、あなたが今抱えている悩みとその背景を紙に書いてみることです。
間違ってはいないのですが、まずは心理的な抑圧を緩和させる方が先です。
先述した通り、心理的な抑圧を緩和させないことには言語化することは出来ません。
その緩和させる方法ですが、それは紙に書いてみることです。
ですが、いきなり悩みを書き始めないでください。
最初に紙に書くのはあなたの感情です。
紙とペンを用意したら、あなたが今抱えている辛いとか苦しいという感情を書き殴ってください。
この時にどんな言葉を使用してもかまいません。
その紙はあなたしか見ないので他人の目を気にする必要はないからです。
躊躇してしまうくらいなら素直に紙に書き込んでみましょう。
とは言え、最初は「辛い、苦しい」としか書けないかもしれません。
それでいいのです。
ここで意識して欲しいことはあなたの感情を全て吐き出すつもりで書くことです。
感情を全て吐き出せれば、心理的な抑圧を緩和することが出来るからです。
実際の例として、私の場合になりますが過去に会社の上司からパワハラと嫌がらせを受けていたことを当時紙に書いていました。
最初は感情を吐き出すことを意識しているので「辛い、苦しい」としか書けないのですが、書き続けていると「不眠で夜眠れない」とか「慢性的な頭痛に悩まされている」など悩みに対して体がどう反応を起こしているかを書けるようになりました。
さらに書き続けると、「会社の上司に人格を否定する言葉を言われた」とか「上司の仕事の過失を自分のせいにされた」など悩みの背景を言語化して書くことが出来るようになりました。
「辛い、苦しい」しか書けないときは焦点が自分しか当てられませんでしたが、起因となった出来事や人物に焦点を当てることが出来るようになったときに、「辛い、苦しい」といった感情から距離が出来たような気がして気持ちが少し楽になりました。
先に感情を吐き出すことを意識すると、心理的な抑圧が緩和され今抱えている感情から問題、背景まで芋づる式に紙に書けるようになり悩みが言語化されます。
紙に書かかずに頭の中だけでこの工程に挑戦しようとされる方が多いのですが、その方法だとここまで掘り下げることが出来ず、感情を吐き出す段階で堂々巡りするだけです。
本書ではその状態を以下の通りに説明しています。
悩んでいる人の頭の中は混乱し、堂々巡りを起こします。
「ああ、どうしよう」、「なんでこんなことに」、「どうしたらいいんだ」
同じ悩みがぐるぐると頭の中に浮かんでは消え、昼夜問わずそれが繰り返されます。
なぜ、こんなことが起きるのでしょうか?
それは脳の作業領域が極めて狭いことが原因です。
脳の中で同時に処理出来る情報は3つまでと言われます。
つまり、頭の中にはトレイ、皿が3つあるとイメージするとわかりやすいかもしれません。
1つのトレイを処理したら、脳に空きスペースが出来てようやく次の新しい情報、考えが処理出来るようになります。
この脳の作業領域のことを「ワーキングメモリ」、作業記憶と言います。
(『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』より引用)
このトレイは特徴があり、人によってトレイの数は変化します。
頭がいい人、つまり作業記憶が良い人は4つあると言われていますが、悩んでいる人は2つか1つに減ってしまうのです。
トレイが減ってしまっている状態で悩みを頭の中だけで解決しようとする行為を次のように述べています。
しかし、悩んでいる人の脳では全く逆のことが起きています。
不安、緊張、脳疲労によってワーキングメモリは減るのです。
毎日、辛い苦しいと悩んでいると脳疲労を起こして脳のトレイは2つか1つに減ってしまいます。
そうなると何を考えても思考が進みません。
頭が働かない、頭にモヤがかかっているような状態。
「辛く苦しいのはなぜ?」
「仕事が忙しいから」
「なぜ仕事が忙しいんだろう?」
「3件の仕事の納期が被っているから?」
「じゃあ、どうする?」
「えー、えーっと」
頭の中だけで悩みを解決しようとすると、このあたりでワーキングメモリが満杯になりますからこれ以上考えを進めることは出来なくなります。
そしてどうしたらいいかわからないと思考がリセットされて、「辛く苦しいのはなぜ?」という最初の疑問に戻ります。
これが堂々巡りの状態です。
(『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』より引用)
悩んでいる人はただでさえトレイが減っている状態なのに、頭の中だけで解決しようとすると上記の通り堂々巡りで疲弊してしまうだけで終わってしまいます。
それに堂々巡りをすればするほど、「辛い、苦しい」という感情に「悩みが解決しないことに対する焦りと苛立ち」が合わさり「辛い、苦しい」という感情が更に強化されてしまいます。
悩みを紙に書かずに頭の中だけで解決しようとするのは、むしろ逆効果なのです。
なので、悩みを言語化するには紙に書いてください。
最初の感情を吐き出す段階で、思うように感情が書き出せないという壁にぶつかってしまうでしょう。
でも、止めないでください。
書き続けてください。
最初は上手く書けなくて当然なんです。
私も挑戦した初日は「辛い、苦しい」としか書けずにその日を終えました。
この記事を最後まで読んで実際に行動に移すことが出来ただけでも、とても大きな前進です。
この「出来た」部分に注目すれば続けやすいです。
「実際に紙とペンを用意することが出来た」、「自分の感情を紙に書いてみることが出来た」、「昨日よりは内容をより具体的に書くことが出来た」などいくらでも「出来た」ことは見つかります。
それがまた明日も挑戦してみようという活力になります。
『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』ではさらに詳しく悩みを言語化する方法について記載されています。
あなたが「出来た」と感じ続けながら悩みを言語化する術を身に付けるために、本書をぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
YouTubeチャンネルの『精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル』もかなり参考になりますので、下のリンクから移動して気になった動画を視聴してみてください。
それと、もしよろしければチャンネル登録をよろしくお願いいたします。
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本記事を最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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