今も昔も変わらない悩みを話せる場所
悩みや相談事を話す場所のことを「駆け込み寺」と呼ぶことがあります。
現代でも使われている言葉で、元々は江戸時代に離婚を望む妻が駆け込んだ寺が語源のようです。
今ではYouTubeで住職の方が人生相談に答えている姿を簡単に見られる時代です。
以前の記事でも紹介しましたが、諦めることは悪いことではありません『自分という壁 自分の心に振り回されない29の方法』の記事で紹介している著者の大愚元勝(たいぐげんしょう)さんは住職でYouTubeチャンネルを持っています。
YouTubeチャンネルで全国各地から寄せられた人生相談のお便りを読んで、自らの見解を述べられている動画があります。
詳しくは『大愚和尚の一問一答』のYouTubeチャンネルをご覧ください。
リンクはこちらからどうぞ。
住職として迷える人々の話を聞くのは、もちろん大愚元勝さんだけではありません。
多くの住職の方々が経験されています。
住職の方が悩みや相談事を聞く側として、悩みや相談事に対してどんな風に向き合えばいいのかなど仏教の視点で新しい見方を授けてくれるのが、今回ご紹介する『禅僧が教える心がラクになる生き方』です。
いつも本サイトを訪れて記事を読んでいただき、ありがとうございます。
こちらの書籍はAudibleでもご利用頂けます。
現在、Audibleを新規登録される方は30日間無料で体験することが出来て、今回ご紹介した書籍も無料体験中に聴くことが出来ます。
下のリンクから該当ページに移動しますので、Audibleに興味を持たれた方はこの機会にぜひご利用してみてください。
Audibleの公式サイトはこちらからどうぞなぜ悩みを言葉にすることは大切なのか
著者の南直哉(みなみじきさい)さんは住職です。
福井県の永平寺で20年近く過ごした後、縁あって青森県にある霊場、恐山の霊泉、住職代理となり10年以上職務を勤めています。
本書はタイトルの通り仏教がテーマなのですが、本書は仏教そのものを学ぶ本ではないと著者は説明しています。
それでは本書がどの様な本なのか、次の通り説明しています。
私は「話がしたい」と連絡をくださる方には、時間と場所の折り合いが付く限り話をするようにしました。
どのくらいの方と会ってきたのか数えたことはありませんが、その様な対話を始めてかれこれ20年になるでしょうか。
苦しいとおっしゃる方達の話を聞くと気付くことがあります。
問題をクリアに見ていけば、実は解決の糸口は意外に身近なところにある場合が多いもの。
また、「辛い」と感じている自分が本当はどんな存在かを知れば、その辛さを飼い慣らしてもう少し楽に生きていけるということです。
この本は、今まで会ってきた方達との対話で感じたことや日頃私が僧侶として考えてきたことをお話ししていきます。
仏教そのものを学ぶ本ではありません。
仏教というツールを使って、こだわりや執着から起こる苦しみの正体を知り、取り扱い方を身に付ける本だと思ってください。
私は今まで会ってきた方達にもその相談事で答えを出してきたわけではありません。
話す中でご自身の問題が鏡のように映し出され明らかになればいい。
そう思って話をしてきたまでです。
この本もあなたが全く別の視点から物事を捉えられれば十分だと思っています。
なぜかと言えば、自分を苦しめていたり悩まさせているものの正体が明らかになれば、そこから見えてくる道があるはずなのです。
進みべき道が見えてくれば、人はどんな苦境からでも一歩踏み出していくことが出来ます。
著者は「仏教とは生きるためのテクニックです」とも述べています。
著者自身も仏教に中学三年生の頃に出会い、そのことが仏教の道に進むきっかけになったほど多大な影響を仏教から受けました。
しかし、仏教の考え方が合うかどうかは人によります。
合うと思えばもちろん取り入れてみるのがいいと思いますが、合わなかったら無理して取り入れなくてもいいと本書で語っています。
ですが、まずは自分で仏教というツールを使ってみないことには自分に合っているのか、役に立つのかどうかはわかりません。
本当に役に立つのかどうかは、あなたが実際に使ってみて判断してもいいのです。
今あなたが読んでいるこの記事を含め、当サイトでは仏教をテーマにした記事がいくつかあります。
もしそれらの記事を読んでみて仏教の考え方が自分には合わなかったといって、あなた自身のことを責めないでください。
住職である著者も「合わないと感じている人に無理に押し付ける気はない」と本書で語っています。
「この本は、今まで会ってきた方達との対話で感じたことや日頃私が僧侶として考えてきたことをお話ししていきます」と述べられている通り、著者は長年にわたり多くの人から相談事を聞いてきました。
相談事を聞く側の立場として、相談事を話す側がどの様な心構えで相談事に対して向き合えばいいのかを本書で解説しています。
本書の3章の「感情に振り回されない為に」の『すぐに「答え」を出そうとしない』では、悩みや相談事を話す際に話す側はどんなことを意識すればいいのかを以下の通り解説しています。
困難や辛い状況の中で、漠然と「困ったな、これはまずいな」と言っているだけでは何も解決しません。
何となくモヤモヤする、何だかスッキリしないとぼやいているだけでは事態はますますこじれていきます。
困った状況の根本には何があるのかを見て、「何なのだろう、どうしたいんだろう」と自分を困惑させる問いをアプローチ可能な問題に組み立てることが出来るかどうか。
状況を打開出来るか否かは、そこにかかっています。
悩みを解決したくて、ずっと自問自答してきたのですが、答えが見えなくてという方がいますが、これは当たり前です。
頭の中で考えるだけでは、問題は仕上がっていません。
感情がぐるぐる回転しているだけです。
だから、一度そのサイクルを止めて、問題として言語化する必要があるのです。
逆に言えば、言葉にするということは感情を止めることに他なりません。
なぜ、状況を言語化出来ないのか。
それは、自分自身の問題について考える作業をやってきていないからです。
言語化する際には、まず主語と述語をはっきりさせなければいけません。
主語と述語の明確な言葉で、自分の置かれた状況や感情、問題点を書き出す。
あるいは、人に話すのです。
すると、問題の枠組みが出来ていきます。
この作業は、問題を見つめることや整理することとは違います。
他人にわかる具体的な言葉にしていくことです。
誰と誰が絡んでいて、今どんな感情が自分の中にあるのか。
それを言語化していきます。
この時初めて、その問題が自分の手に負えることなのか、他人の介入が必要なのか、あるいはやり過ごせばいいのか、立ち向かうべきなのか、アプローチの方法が見えてきます。
それが問題に組み立てることなのです。
自分の考えていることが正しいのか間違っているのかを考える前に、他人に通じる話にしなければどうアプローチすればいいのかは見えてきません。
そしてそれは自分自身で言葉にすることしか出来ないのです。
「頭の中で考えるだけでは、問題は仕上がっていません」
「感情がぐるぐる回転しているだけです」
上記の通り、感情がぐるぐる回転しているのはわかっているのだけれも、その回転を自らの意思で止められないと感じている方もいるのではないでしょうか。
なので、最初は感情の回転速度を小さくしてみることから始めてみましょう。
当サイトでもこのサイトに関しての記事で詳しく説明していますが、心理的な抑圧を緩和する、悩みを言語化する、悩みを人に話すの順番で悩みに向き合うことを勧めています。
心理的な抑圧を緩和する、つまり今あなたが悩みを抱えていて「苦しい」とか「辛い」という思いで溢れそうになっている感情の体積を小さくすることです。
最初に心理的な抑圧を緩和するところから始めて、次に悩みを言語化する過程に進めます。
心理的な抑圧を緩和する大切さは、本書でも違った表現で以下の通り説明されています。
ただし、言語化の前に感情をクールダウンする作業は必須です。
感情が激しく揺れたり、激昂したりするのは思い込みや偏見があるからです。
まずは、思い込みがあるから反応しているだけだと気付く。
そして、感情を全て止めて平場にして、思い込みや偏見を止める。
問いを問題に組み立てるプロセスは、ここから始まります。
思いを丸ごと止めてグラウンドを整備し、フラットな状態にすれば問題が見えてきます。
自分が囚われている環境が憎悪なのか嫉妬なのか、怒りなのか悲しみか。
そして、そこにどんな問題があるのかが浮かび上がります。
そうしたらしめたものです。
建物を建てることに夢中になっていたら、全体像が見えません。
しかし、一旦建物から離れてフラットな状態で眺めてみれば、どんな建物かがわかります。
建物の形は、その中から出て水平な場所から離れて見ない限り、正確に把握することが出来ないわけです。
例えば、感情が荒れている時、それが憎悪か嫉妬か区別が付けられたら、その時点で既に大正解。
ことの8割は片付きます。
それに対して、どうすればいいかという分析や判断は後からで十分です。
言語化の前に、自らの感情に最初は目を向けて見てください。
感情には波があるので、今あなたの中で感情が大きくなっているのか小さくなっているのかを感じ取れます。
感情の波が大きい時は無理に逆らおうとしなくても大丈夫です。
まずは、大きくなっている感情を勢いのまま紙に書いて吐き出してみてください。
同じ言葉が何度続いても構いません、あなたの感情が小さくなるまで続けてください。
最初は勢いのまま書き続けられますが、長くは続かないはずです。
疲労感を感じて、手が自然に止まることでしょう。
その時に、もう一度あなたの感情に目を向けてください。
あなたの感情の波は小さくなっているはずです。
それが「フラットな状態」です。
その「フラットな状態」になってから、問題を見つめ直すと今までとは違った感想が出てきます。
そして「フラットな状態」になったら、その感覚を忘れないようにしてください。
言語化する場合に限らず、人に悩みを話す場合にもとても大切な感覚だからです。
そして人に悩みを話す場合にも、他に意識して欲しいことがあります。
それはあなたが悩みを話す相談相手とは、「鏡である」と認識することです。
鏡との向き合い方
自分で言葉にすることが難しいのなら、末期(まつご)の眼を持って問題を見られる人を鏡として借りるのもいいでしょう。
末期の眼とは、死を前にして欲得を離れた者の眼のことです。
感情に翻弄された時こそ、末期の眼で物を見ることが重要です。
それが出来れば、「自分が自分が」と言って生きることがいかに馬鹿馬鹿しいことかわかります。
その眼を持つ人が自分の話しを持ち出す相手として大事なのです。
助言を受ける時に一番大事なのは、解決策を教えて貰うことではありません。
自分の問題が明らかになることです。
問題が明らかになれば、相手から答えを提示されるまでもなく、アプローチの方法は自分で見出せるでしょう。
だから、結論や答えを得ようと焦らず、まず自分の問題を自分の言葉で明らかにして、人前に持ち出せるようになることを目指すのです。
例えば、ある人に相談したとして、その鏡が曇っていると感じても、無駄にはなりません。
一旦人に話したことで、問題を言語化出来ます。
その問題をさらに別の鏡に映し出すことは出来ます。
もし、相手が言うことに腹が立ったとしてもいいのです。
相手に反論する理屈を考えるだけでも前に進めるでしょう。
ただし、頭にくるで終わらせたら対話は無駄になります。
なぜ自分が頭にきたのか、どうやったら反論出来るのか。
そこまで考えられれば、いつか必ず答えを自分なりに見つけられるはずです。
自分を映す鏡は、化粧前の顔がはっきりと見えることが大事です。
映し出された顔を見て、どうすれば肌のくすみやしわをごまかせるのか、あるいはごまかしきれないのか。
違う化粧品を使わなければならないのか、それとも今のままでいいのか。
自分自身で決めるには、相手という鏡に映し出された自分の素の顔をじっくり見るしかありません。
(『禅僧が教える心がラクになる生き方』より引用)
相談相手は鏡であって、鏡自体があなたが今抱えている悩みを代わりに解決してくれるわけではありません。
自分の問題が明らかになるだけです。
相談相手の鏡が曇っていて、うまく映らない場合もあるかもしれません。
ですが、相談相手に今あなたが抱えている悩みを聞き入れてもらえたことで、あなたの心は悩みを話す前よりも確実に心の重石が軽減されたように感じられるはずです。
人にあなたが抱えている悩みを聞き入れて受け止めてくれるだけで、あなたは確実に悩みを解決する正しい方向に進めています。
鏡が綺麗に映っている場合には、自分の問題に対してアプローチがはっきり見えるようになります。
複数のアプローチが鮮明に見えて、そこからあなたに合ったアプローチを自由に選ぶことが出来ます。
そして自分がどうしたいのか悩みと向き合えば、本書の言う通りあなたなりのアプローチで答えに辿り着けます。
あなたが抱えている悩みはあなた自身で解決することが出来ます。
相談相手はあくまで鏡であって、あなたの問題を映してくれるだけです。
「本当に自分自身だけで、問題を解決出来るんだろうか」と思われたかもしれません。
大丈夫です、ここまでこの記事を読んでくださったあなたなら出来ます。
今、このサイトでこの記事を読んでいるということは、悩みを何とかしたいと思いから自らの意思でこのサイトに訪れてこの記事を読み進めてくださったということです。
記事を最後まで読み進められていることが、あなたの悩みをあなた自身で解決しようとする意志があることの証明になります。
その意思を持ったまま正しい方向に向かってあなたの悩みが解決出来るように、本書をぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
本記事を最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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