「上書き力」を理解すれば、人見知りは治さなくてもいいんです『「人見知り」として生きていくと決めたら読む本』

心理的な抑圧を緩和する
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人見知りの認識

「初対面の人と何を話していいかわからない」

「知らない人に話しかけられない」

「雑談が苦手で会話が続かない」

「沈黙が苦痛で焦ったり、地雷発言をしたりする」

「自己主張が苦手でいつも遠慮する」

これらの特徴に心当たりはありませんか?

もし、これらの特徴に心当たりがあるなら、あなたは人見知りではないでしょうか。

私はこれらの特徴に全て当てはまる重度の人見知りです笑。

世間一般の「人見知り」に対する印象は、「大なり小なりその特徴を抱えている人は多く、共感されることもあるが基本的にはマイナスな印象を持たれることが多い」といったところでしょうか。

実際に私自身が重度の人見知りなのですが、この性格はとても生きにくいです。

学生時代は学年が上がるごとにクラスが変わる度に、新しい人と仲良くなるために話すのが億劫だったり、社会人になった今も仕事上で新しい人と会うのはいつも緊張しています。

人と人とのコミュニケーションが必要不可欠な現代社会において、人見知りというのは障害にしかならない性格である。

ずっとそう思っていました。

ですが、そう思っていたことが損であることを気付かせてくれた本に出会いました。

その本のタイトルは『「人見知り」として生きていくと決めたら読む本』です。

いつも本サイトを訪れて記事を読んでいただき、ありがとうございます。

こちらの書籍はAudibleでもご利用頂けます。

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「上書き力」を理解する

著者の牛堂登紀雄(ごどうときお)さんは自身のことを極度の人見知り、口下手、根暗であると書籍の冒頭で告白しています。

そんな性格では人付き合い以前に生きていくのが大変そうだと思いますよね。

ですが、著者は今とても幸せな生活を送っていると語っています。

それはなぜなのでしょうか。

その答えは著者が「人見知りとして生きていこう」と決め、それでもやっていける環境を自らの手で作ったからです。

ちなみに、冒頭の人見知りの特徴は本書における人見知りの傾向からその特徴として紹介された例を一部引用したものです。

程度の問題もあるので、ほとんどの人には大なり小なりこれらの特徴には当てはまるものですが、もしあなたがこれらで悩んでいる、あるいは生きづらいと自覚症状があるなら、本書が役に立ちます。

そう断言出来るのは、重度の人見知りである私自身も本書を読んで、その考え方に大いに共感し読了後に心が軽くなったからです。

本書では人見知りの定義から始まり、人見知りであることを受け入れられるような考え方、そして仕事や恋愛など人生における大切な局面において人見知りがどの様に立ち振る舞えばいいのかを指南してくれます。

どの解説も人見知りとして共感出来るような内容で深くうなずきながら読んでいたのですが、特に感銘を受けたのが第2章の『ムリして自分を変えなくていい 人見知りの「強み」はたくさんある』の『2「上書き力」がカギになる』です。

題目にも使用されている「上書き力」とは一体何なのでしょうか。

本書では次の通り解説をしています。

生まれ持った資質は変わりませんが、知識や経験を積むことで「こうありたい」という自分に近づいていくことは出来ます。

この時大事なのは、学んだことを上書きしていく「上書き力」です。

この力を意識的に磨いていくことで、自分の資質を生かしながらより快適な人生を送ることが出来るようになります。

私達は幼少期から親や先生との交わりや、友達との遊びやケンカといった経験を通じて、「これは良いこと」、「これは悪いこと」、「こうすれば認めてもらえる」、「これは受け入れてもらえない」といったことを学んでいきます。

それら経験や情報を取り込みながら、自分の性格を作っていきます。

性格とは、生まれ持って備わった資質と環境、経験から獲得、形成される思考特性と行動特性が合わさったものです。

すなわち、経験が増え、新たな物の見方を学び、成長していくことでより外界に適応した生き方を手にしています。

つまり、性格とは自身が生き抜くために構築した鎧であり、これが自分にとっての適切な方法だというその人にとっての生存戦略そのものです。

「性格とは自身が生き抜くために構築した鎧」という表現は性格に関する比喩表現の中で最も的を得ている表現だと個人的に思っています。

この鎧は常に装着した状態であり、簡単に脱ぐことが出来ない。

身に付けている鎧が頑丈でなければ、着用者が傷を負ってしまう。

しかし、頑丈過ぎるとその重さに着用者が耐え切れず一歩も動けなくなってしまう。

人の性格はなかなか簡単に変わるものではなく、性格がちゃんと形成されていないと周囲の言動に傷付きやすい性格になる反面、形成され過ぎると傷が付かないように人と関わろうとしなくなるほど気が沈むようになる。

性格に関する比喩表現でこれほどまで腑に落ちるような表現に出会ったことに深く感動しました。

さらに鎧は生き続けている限り形成させ続けることが出来て、メンテナンスを行うことが出来る。

このメンテナンスこそが「上書き力」です。

著者は心理学の著書を読み進めて考察を行い、性格は3つの層から成り立つと考えました。

性格を構築する3つの層

第一層は資質。

第二層は自己肯定感。

第三層は信念です。

第一層は性格を形成する核となるもので、例えば同じ兄弟でも一人もくもくと遊ぶ子もいれば、誰かにつきまとって一緒に遊ぼうとする子もいるなど生まれつきの違いがあります。

子供の頃から内向的であれば、誰から教わることもなく表出しているわけですから、これは生来的な資質であり変わることはありません。

この第一層の外側にある第二層は自己肯定感や自尊心といった性格の土台となる基本骨格であり、家族など養育者との交わりの中で形成されます。

第三層は行動原理となる信念です。

私達は家庭、学校、対人関係、環境などを通じ「これをしてはいけない」、「これをしなければならない」、「これが正しい」、「これは間違っている」ということを知ります。

あるいは、「こうすれば上手くいく」、「こうしたら上手くいかない」、「これは自分にとって有利」、「こちらは不利」、「これは意味がある」、「これは意味がない」などと学習します。

それら経験と学習を通じ、自分の考え方を軌道修正し環境に適応していきます。

ある環境では自分に有利に働く一方、時に先入観や固定観念となり、自分を縛ったり苦しめたりすることもあります。

ここで認識すべきことは第二層、第三層で形成された価値観や信念、考え方は後天的に学習して獲得したものであるという点です。

ということは、新たな学習を通じて上書きすることが出来ると言えます。

つまり、経験を積み社会的立場や求められる役割が変わっていく過程で、自分に合わなくなった考え方や価値観などを捨てたり変えたり、新しく取り入れたりすることが出来るはずなのです。

(『「人見知り」として生きていくと決めたら読む本』より引用)

人見知りであることに後ろめたさを感じるのは先入観や固定観念が原因です。

そんなことで自分のことを縛ったり苦しむ必要はないのです。

人見知りは良くなくて、社交的な性格こそが望ましいというのは物事を一側面しか見ておらず、偏狭な思い込みであると本書でも述べられています。

視野をもっと広げてみれば人見知りのいいところはたくさんあるし、人は多かれ少なかれ人見知りの要素を持っているのですから、自分だけが変わっているなんてことはありません。

人は新たな学習を通じて上書きすることが出来るのですから、人見知りは良い性格であるという考えを自分の中にひとつずつ積み重ねて上書きしていけばいいのです。

その過程の中で自分に合わなくなった考え方や価値観は捨てたり、変えることが出来ます。

「世間ではこの考え方が主流だけど、自分には合わないな」と思えば、自分の中で受け入れないことを決めたり、自らの意志で性格を形成する情報を取捨選択する自由があなたにもあります。

そうやって認識をアップデートし続けていけば、いつか人見知りも立派な性格だと受け止められる日が訪れるでしょう。

あなたが新しい学習をして上書きする最初の機会として、本書をぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

本記事を最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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