カプセルトイには言語化に役立つヒントがある
あなたが初めてガチャガチャを回した時のことをまだ覚えていますか?
私が初めてガチャガチャを回したのは、小学生の低学年頃だったと思います。
好きなアニメのキャラクターがガチャガチャになっているのを見かけて、お小遣いからお金を出してガチャガチャを回す。
ガチャガチャを回すレバーを回転させて、中の商品が動いている瞬間を見て「何が出て来るんだろう」とワクワクした気持ちで出て来た商品を取り出したことを未だに覚えています。
ですが、その出て来た商品がお目当ての物だったのかまでは忘れてしまいました。
時は流れて、大人になった今もスマートフォンを中心にしたソーシャルゲームを始めとして、ガチャガチャは姿形を変えて今も愛される存在になっています。
最近では、ガチャガチャはカプセルトイという名称も一般的になり、ソーシャルゲームなど実体のないものも全般的に含まれるのが「ガチャガチャ」、主に実体の方を指しているのが「カプセルトイ」と使い分けられているように感じます。
そんなカプセルトイが現在、どのくらいの市場規模になっているかご存知でしょうか。
2022年の市場規模は610億円でした。
前年の2021年が450億円だったので、たった1年で160億円も伸びる急成長を遂げています。
そして、その進化は今も続いています。
毎月300から400ほどの新商品のカプセルトイが販売されています。
昔から今も老若男女問わず多くの人に愛されるカプセルトイですが、ここにある言語化の秘密が隠されています。
その秘密を知ることで、あなたが今抱えている悩みを言語化するのに役立つかも知れません。
今回ご紹介する『読む・聞く、まとめる、言葉にする』は、言語化力はもちろん、本を読む力、話を聞く力、情報を整理し言葉にするためのスキルについて教えてくれる本です。
いつも本サイトを訪れて記事を読んでいただき、ありがとうございます。
こちらの書籍はAudibleでもご利用頂けます。
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著者の松尾美里さんは、株式会社flierが運営する本の要約サービス「flier」の編集部で本の要約を作成しています。
「flier」とは、ビジネス書一冊の大筋を10分で理解出来るサービスです。
一つの要約の文量は4000字ほどであり、最大の特徴は書評、レビューではなく、「要約」である点です。
書き手の主観が入る書評とは異なり、本の全体像をベースに著者の主張や重要ポイントを忠実にまとめ、読者に伝えることを目指しています。
著者はこの仕事を始めて10年以上になると本書で語っていますが、最初の頃は要約がうまく出来なくて思い悩む日々を過ごしたと言います。
そんな中で、要約の仕事を通じて著者はある気付きを得ます。
その気付きに関して、本書で以下の通り答えています。
言語化というと、どんなイメージを持っていますか?
オリジナリティのある言葉で物事をわかりやすく伝えられる、そんなイメージを持つかも知れません。
私もこれまでインタビューや要約の仕事をする中で、「どういった発想や思考をしていたら、こんなに素晴らしい言葉を生み出せるのだろう」と思うような方々に会ってきました。
「このような表現はきっと言語化の才能があるから生み出せるのだろう」と衝撃を受けた一方、色々な方に取材する中で実はそうではないと気が付きました。
それは言語化が上手な人ほど、質の良いインプットとアウトプットを習慣にしているということです。
わかりやすく言うと、言語化が上手な人はたくさんの人とコミュニケーションを取り、たくさんの本を読むなど、他の人がしていないような独自の体験をしています。
言わば、聞いて体験したものを頭の中で熟成させながら整理し、言葉にする、話す、書くという機会を多く持っているのです。
逆説的に言えば、読む、聞くといった質の良いインプット、情報の整理、それらをアウトプットをするという習慣があれば、言語化力は誰でも高めることが出来るのです。
だからこそ、本書では読む、聞くというインプットから、メモる、まとめる整理法、そしてアウトプットとしての言語化する方法までをスキルとしてお伝えします。
「読む・聞く、まとめる、言葉にする」
これらの4つのスキルこそ言語化はもちろん、あらゆる仕事に必要な要素であり、方法であり、習慣だと考えています。
この一連のスキルを学ぶことで、言語化する力、言葉にする力だけではなく、本を読む力、話を聞く力、対話力、情報を整理し構成する力が身に付きます。
インプットに関しては、スマートフォンとインターネットの普及により膨大な量の情報をいつでも指先ひとつで簡単に手に入れられます。
なので、質のいいインプットを手に入れられるのは問題ないでしょう。
問題は質のいいアウトプットです。
あなたは日常生活でアウトプットする機会をいくつ思い浮かべられるでしょうか。
日常生活でアウトプットする機会というと、職場で仕事の話をする時や友人と共通の話題で盛り上がる時、SNSを通じて映画や漫画などの娯楽の感想を書き込む時ぐらいではないでしょうか。
そもそも、アウトプットする機会はインプットする機会に比べて圧倒的に少ないのです。
その理由はアウトプットに共通して言えるのが、何か話題がないとアウトプットが出来ないという点です。
インプットに関しては、毎日ほぼ無意識で何となく行っているスマートフォンでニュースを見たりSNSを見たりして膨大な量をインプットすることが出来ますが、アウトプットに関しては自ら意識しなければ行えません。
なので、アウトプットして言語化する力が特に難しく感じるのです。
しかし、ただ単にアウトプットする機会を増やせば質が向上するわけではありません。
質のいいアウトプットをするためには、言語化について詳しく知る必要があります。
本書において定義する言語化する力とは、「相手に伝えたいことを考え抜き、的確に相手に伝わるような言葉を生み出す力」だと説明しています。
言語化力を高める3つのメリットに関して、①人からの信頼・応援を得やすくなる、②自分の本心に気付けるようになる、③組織やチームが目標に向かう力が高まると述べています。
どのメリットも素晴らしいですが、特に「②自分の本心に気付けるようになる」は「悩みを言語化する」上で大切なメリットになります。
「②自分の本心に気付けるようになる」に関して、「自分の抱いている不安や違和感、焦り、せつなさといった感情やなんとなく抱いている課題意識。こうしたものは、言葉で輪郭を与えることで明確に認識出来る」と説明しており、「言語化は自分の感情を客観視すること、その中でマイナスの感情が和らぎ、より本心に近づけるようになる」と答えています。
感情は自分の心では感じているものの、それをうまく言葉で言い表すのは難しい。
言い表すのは難しいから輪郭を掴めなくて苦労しているんですよね、私も同じ経験をしたのでわかります。
では、どうすれば輪郭を掴めるようになるのでしょうか。
それは「制限と制約」を掛けることです。
カプセルトイの商品開発で大事にされていること
突然ですが、上司からこんなお題を出されたらどうしますか?
「新規事業の企画を考えて欲しい。解決したい課題も売り上げ規模も自由でいいから。」
私なら、「えっ、何から考えたらいいのだろう?」と途方に暮れてしまうでしょう。
新規事業の目的、この事業で解決したい課題、課題を持つ人たちの属性、ローンチの希望時期などと、各項目を洗い出してヒアリングをしなければいけないと取材モードに入りそうです。
ですが、その項目も「自分で考えて欲しい」と言われたらどうか。
自由に考えて、自由に書いてと言われても、それは相当な構想力がいりますし、かなりの負荷になるので悩んでしまいそうです。
ポイントをまとめて、何かしらのアウトプットを生む上では、制限、制約が重要になります。
先程の新規事業の例は極端でしたが、文章を書いたり、話す内容を考えたりする時も制限は重要な存在です。
アウトプットの目的、テーマ、字数など、制限があるからまとめの質が上がります。
企画書を書くときも、何十ページにも及んだ対策だと、それを読んで判断する人達が企画の骨子を理解するのが大変になってしまいますよね。
ここでA4のドキュメント1枚、スライド1枚などと制限があることでポイントが研ぎ澄まされやすくなります。
(『読む・聞く、まとめる、言葉にする』より引用)
小学生か中学生の頃に、国語の授業で夏休みの課題として読書感想文を書いたことがあなたにもあるかと思います。
読書感想文は「自由に書いていいよ」と先生に言われても、どの様に書けばいいのか迷ってしまわれた方も多いのではないでしょうか。
私も子供の頃はかなり苦手でした。
当時は本を読むことが苦手だった上に、感想の表現が「楽しかったです」くらいしか言い表すことが出来なかったからです。
それに加えて「自由に書いていいよ」と言われると、どこから手を付けて書けばいいのかわからないですよね。
だから、制限と制約を掛けることが大切なのです。
「あらすじはこのくらいの文量で」、「楽しかったと感じたならどの部分が楽しいと感じたのか抜粋する」、「読書感想文に費やす時間は一週間まで」と制限と制約を掛けることで、何をすればいいのかが明確になります。
制限と制約を掛けることは仕事にも使われており、「自由な発想が必要そう」と思われる仕事にこそ実は制限と制約を掛けることが使われています。
その代表例がカプセルトイの商品開発です。
カプセルトイの商品開発では、どんな風に制限と制約を掛けているのか次の通り本書で紹介しています。
実は、制限や制約にはもっと面白い効果があります。
それは制約によってアイディアが花開くことです。
それを教わったのは、おもちゃクリエイター、アイディア発想ファシリテーターとして活躍する高橋晋平さんの取材です。
高橋さんは「∞(むげん)プチプチ」を始めとするヒット商品を数多く世に送り出してきた方です。
会議をアイディアが出やすい場にするためのファシリテーションについて、アドバイスをお聞きしました。
すると、ポイントの一つは「ちょうどいい制約条件のお題を設定すること」。
それが出来れば、勝手にアイディアが集まってくるのだそうです。
好例はカプセルトイのお題です。
カプセルトイ、いわゆるガチャガチャとは自販機で売られる商品のこと。
このカプセルトイにおけるアイディアの制約条件は次の三つです。
カプセルに入るサイズ、数百円の値段に収まるもの、一人のお客さんが何度も回したくなるラインナップ。
何かアイディアを出す時も、この条件なら値段とサイズをイメージして、ラインナップを考えるだけ。
なので、一から前提条件を考えるよりも、楽に商品のアイディアを思い付くことが出来ます。
正にアイディア無限増殖機です。
アイディアを出しやすくし、アイディアの量を一定以上確保することは、アイディアの質を上げることに繋がります。
実際、面白いアイディアは色々なアイディアの思いがけない組み合わせから生まれることがしばしば。
その為、まずはアイディアの数を増やして、選択肢を多様にすることが大事になります。
毎月300から400ほどの新商品が販売されているカプセルトイですが、最近ではかなり個性的な商品もあり、そういった商品を見かける度にアイディアを発想した人に感心します。
自由な発想で作られている様で、実は制約条件が三つもあり、その中から発想する方がアイディアが生まれやすいのは意外だと思いませんか。
本書では続けて、「制限を掛けるという思考の習慣は、まとめるだけでなく行動もしやすくなるメリットもあります」と述べています。
例えば、家全体を掃除しようとしても場所が多すぎてどこから手を付ければいいのかわからなくなってしまいますが、「洗面所を掃除しよう」とか「トイレを掃除しよう」と場所を明確にして分けることで手を付けやすくなり行動がしやすくなります。
「悩みを言語化する」時も起因となった出来事から感情までを、最初からいきなり全部書こうとしなくてもいいのです。
まずは今あなたが抱えている感情に目を向けるところから始めましょう。
「辛い」のか「悲しい」のかその両方なのか、思い付くだけ今の感情を書き出せばいいのです。
感情を書き出そうとする際に、そのまま殴り書きでもいいのか、ある程度まとめてから書いた方がいいのか悩んでしまうかも知れません。
これは「殴り書きだと同じ言葉が羅列してしまうから意味がないんじゃないか」という考えから生まれています。
私自身も悩みを言語化する時に同じことで思い悩みました。
結論から言います、殴り書きでもいいのでまずは書いてください。
殴り書きでも同じ言葉しか書けなくても、全然問題ありません。
むしろ、最初はそれが普通です。
本書でも最初にまずは書き出してみることの有用性について、以下の通り述べています。
それは言いたいこと、伝えたいことをまずは書き出してみるということ。
別の言い方をすれば、いきなりまとめないで「書く」と「まとめる」を分けて考えるのです。
書きながらまとめる、話しながら言いたいことをまとめる、聞きながら文章にまとめる。
これらは同時に進めようとするとハードルが高いことです。
プロであっても、レベルの高い作業であり、上手にまとめられないと感じるのも無理はありません。
この様な場合は書くとまとめるを分けて考えるのです。
話を聞いたり、本や文章を読んだりした後、自分一人になった時、一旦頭に浮かんだことを全て書き出してみましょう。
まずは言いたいことをまとめようと思わずに書く。
書き切ったら、文章を削っていきましょう。
書いて、減らして、まとめる。
そうすることで、それぞれのプロセスに集中出来て、まとめるが上手になります。
書きながらまとめることはプロであってもレベルが高いと感じるなら、素人の私達にはなおさら難しくて出来ません。
本書の言う通りだと、実際に書いてみた私もそう思います。
「まずは言いたいことをまとめようと思わずに書く」
殴り書きでも、同じ言葉が続いても、あなたが今抱えている感情を全て吐き出すことに意識を全て向けて書き出せばいいんです。
自分しか見ないのですから、どんなに汚い言葉でもかまいません。
それを書き切ったら、見返してみて同じ言葉を減らせば、まとまります。
ひとつひとつの過程に全集中することが言語化において大切です。
「まとめる、言葉にする」を中心にここまで見てきましたが、その手前の「読む・聞く」も大事な要素です。
言語化する力だけではなく、本を読む力、話を聞く力、情報を整理し言葉にするためのスキルを身に付けることが出来る本書をぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
本記事を最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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